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「OH!meine lieben Sohn!」
「ハイハイ、meine lieben
Vater」
「Wie geht
es dir?」
「元気だよ」
「そうか、それなら良かった、聞いてくれ、実はつい数週間前、僕は素晴らしい出会いを果たしたんだ」
「迦奈が聞いたらなんて言うかな」
「Nein!そうじゃない、第一僕が迦奈への愛をオロカにするはずないだろう!」
「疎か、ね、はいはい、それで?その素晴らしい出会いっていうのは一体どんなもんなんだ?」
「うん、彼はまだ学生でね」
「男なのか」
「そうだよ、多分、君とあまり歳は変わらない」
「へえ」
「けれど、非常に優秀でね、うん、まあ、若い頃は過ちも経験だろう、僕なんかもよく」
「その話はいいよ、それより、そいつは何か問題でも起こしたのか?」
「詳しい経緯はわからないけれど、あと少しで退学処分になりかけていたんだ、けれど、それは反故になった、最近は教授たちも彼を見直し始めている」
「いい話じゃないか」
「うん、出会った頃とは随分違うかな、なにより、寂しげな様子がすっかり消えてしまったからね、彼の成長と同じくらい、それが嬉しいよ」
「アルはそいつの手助けをしてやったのか?」
「違うよ、彼は自分の力で信頼を取り戻している、見上げたコンジョーだね」
「根性だよ」
「うん、そうか、それより、あのね、僕は、彼の中に、以前君が話していた可能性を見つけたんだよ」
「―――可能性?」
「君は言ったよね、君の大切な人の、一番のチャームポイントは可能性だって」
「ああ、そうだったかな」
「そうだよ、僕は君の言葉なら全部覚えているよ、僕の可愛い君の言葉だからね、忘れるものか」
「やめてくれ」
「どうして?僕は君が愛しい、迦奈も愛しい、二人とも僕の大切な」
「いいから、話を続けてくれないか?専用回線の個人的使用は本来禁止されているんだぞ」
「そういえば、君のお目付け役の二人は元気かい?」
「Vater」
「ハハハ、怖い怖い、そうだったね、僕の出会った素敵な彼の話をしていたんだ」
「で、その彼は、どんなヤツなんだ?」
「うん、なかなか気骨があって、頑張り屋だよ、シャイで、でもホントは情熱的かな、結構気難しいタイプなんだけど、必要なものに労力を惜しまない、頼もしい青年だ」
「へえ」
「筋もいいんだ、久々に育て甲斐のある若者に出会えて、僕は毎日とても楽しい」
「良かったじゃないか、そいつ、本当に優秀みたいだな」
「勿論!―――あのね、実は、僕は君のために、相棒を作ってあげたいんだ」
「俺に?」
「君の最近の仕事内容は、どれもSS級の難易度のものばかりだ、君の実力ならそれも仕方ないと思うし、理解しているつもりだけれど、でも、手伝いがあった方がきっといい」
「要らないよ」
「そうはいかない、君は、君一人の体じゃないんだ、もし君に何かあれば、あの子に不要な悲しみを負わせることになる、僕や迦奈も悲しい」
「そうだとしても、相棒は要らない、俺は一人で十分だ」
「何も専属にしろって言っているんじゃないんだよ?僕だって跡継ぎが欲しかったからね、君にはもう頼めないだろうから、彼は僕の弟子にしてしまってもいい」
「そいつにその話をしたのか?」
「まさか!」
「だったら、本人の意向を無視して先行したって仕方ないじゃないか」
「でも本当に優秀なんだ、勿体無いよ、体も鍛えているようだし、ハードな作業にもきっと耐えられるよ」
「なら、使い物になったらまた話を聞かせてくれ、その時考える、それと、彼の自由意志を尊重しないとダメだよ」
「まったく、手厳しいなあ」
「俺は似ただけさ」
「じゃあ、また連絡するよ」
「ああ」
「そうだ、最後に彼の名前だけでも」
「いいよ、ついでに俺の話も一切しないでくれ、いいね?」
「わかっているよ、機密事項だろう?」
「Ja、それじゃ、また」
「Tschūs!」
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