※ゲーム未クリアの方はお読みになられませんよう、ご注意申し上げます。
「Zero-Discovery」
危うく、死ぬとこだったと思う。
砂漠で行き倒れなんて最悪、おまけにこっちは命がけで逃げ出した後だったし、バディのサラーさんはいいお歳で運動能力なんて期待できなかったから、記憶だけあてにしてさまよってたけど。
「ない」
どこまで行っても砂の海。
オアシスなんて、どこにあるのよう!
目の前がくらくらして、ばったり倒れた音がして、でもそれはあたしじゃなくてサラーさんだった。
「ちょ、ちょっと、しっかりしてよ、ねえ!」
慌てて揺すりおこしても全然反応がなくて、もうなんか必死で、背負って歩いてこうとしてたら、あたしもなんだか―――
「も、ダメ、かも」
バタリと。
そっから記憶がなくて、気づいたらセスナの中で寝かされてました。
気が付いた途端、キッツイ看護婦さんやらに叱られて「何事?!」って思ったけど、でっぷりした専属医師のセンセは穏やかなイイヒトで、あたしが砂漠で倒れていたことと、脳震盪を起こしていたこと、それと、サラーさんが無事だって事を教えてくれて、凄くホッとした。
初任務だってのに、最悪。
「あーあ」
俯いたあたしの傍らで、知ってる音が聞こえる。
手に取って、HANTのモニターを開いて、メールチェックしたら、早速協会から次の依頼が。
「あてにされてんのねえ」
こっちは死に掛けた直後だってのに、人使い荒い荒い。
まあ、望むところだけどね。そんな半端な覚悟でなんて、宝捜し屋なんかやってらんないんだし。
―――そう、何を隠そうあたし、実は世界を股に駆けるトレジャーハンターなのです!
今回は初任務、ヘラクレイオン遺跡っていう、比較的難易度の高い仕事をこなしてきたんだけど、散々だったわりには仕事きっちり、碑文もちゃんとテイクアウトできてよかったなーって思う。
ま、我がロゼッタ協会のライバル、レリックドーンの皆様にはバッチリチェキ入れられちゃったみたいだけど―――ううん、やりづらくなりそうだなあ。
でも探索内容自体は評価されたみたいで、それはちょっとだけ嬉しいかもしれなかったり。
だって、だからこそこうして、安否確認が取れた途端にメールが届いたわけだし。ね?
「期待の新人ってヤツ?ふむふむ、どれどれ?」
■探索要請
日本にて、超古代文明にまつわる遺跡の存在を確認。
場所は、
本メールを受信した担当ハンターは準備が整い次第、現地へ急行せよ。
尚、今件の関連資料は自動的にこのHANTに転送される。
《ロゼッタ協会》遺跡統括情報局
「え?学園?って、ハイスクール?民間機関に潜伏して探索するの?わームズカシそう―――ん?」
※情報の行き違いにより、担当ハンターを男性として書類提出してしまいました。
ID称号により当局の手違いと判明いたしましたが、担当ハンターには男性として潜入及び探索作業を同時に依頼します。
「な、なにいいい?!」
目を丸くして口をパクパクさせるあたしに、先生はニコニコしながら送られてきたファックス容姿を手渡して言った。
「お前さんに、秘宝の加護のあらん事を」
「うそでしょお?!」
かくして。
あたし、玖隆あかり、IDナンバー999、コードネーム「berry」は。
『男の子』として、天香学園高校に転入することになったのでした―――