救済措置(笑)

 

 

玖隆Ver.

 

そのままトボトボと歩き出した俺。

きっと随分情けない姿だ。

これで世界をまたに駆けるトレジャーハンターだって言うんだから、笑ってしまう。

そんな俺でも、泣く時は泣くんだ。

辛くて苦しくて、今、ここから確実に失われていく温もりを思って泣く。

この涙はお前のもの。

本気で焦がれた、お前に捧げるもの。

 

「おい、晃ァ!」

 

いきなり大声で呼ばれて、俺はハッと空を見上げる。

 

「お前に一つ、言い忘れてた事があった!」

 

「甲太郎?」

屋上から覗いていた。

胸の奥が、ズキリと痛んだ。

今はもうこんなに遠い。

甲太郎の姿がかすんで見えない。

これは、離れているせいだろうか―――それとも俺の眼が涙で曇っているせいなのか。

 

「あのなあ!」

 

ゴホンと咳払いをして。

 

「いいか、一度しか言わねえ、だから、よく聞け!」

 

あたりに人影は無い。

ここにいるのは俺達二人だけ。

だからだろうか?

様子が、いつものあいつらしくない。

馬鹿みたいに必死になって、らしくもなく切羽詰っている。

 

「俺はァ」

 

「お前がァ」

 

―――ためらった。

 

「お前がァ」

 

「ダチじゃなくてェ」

 

 

「好き、なんだァ!」

 

 

 

 

 

―――――――――言葉が、出ない。

 

 

「聞いてんのか、コラァ!」

 

馬鹿な奴。

どこまでふてぶてしいんだ。

お前、人を振り回すにも、限度があるぞ。

 

「晃ァ」

 

俺は口の脇に手をあてて、叫んだ。

 

「こーうーたーろーうー!!」

 

「何だァ」

 

―――キス!」

 

はたと、甲太郎が叫ぶのをやめる。

フェンスにめいっぱい身を乗り出して、俺を見ている。

 

「しにいっても、いいか?」

 

最後は普段よりもっとずっと小さな声で。

 

けれど、甲太郎は照りつける夕陽よりずっと眩しい笑顔で、ニッと笑ってくれた。

 

―――なら、早く戻って来い!」

 

俺も満面の笑みを浮かべて駆け出す。

今歩いて来た道を、あいつの元に向かって。

 

「俺って、安い」

 

呟く傍から笑ってしまう。本当に安い。

うそつきで無くなった俺を、放課後のぬるい気配が優しく迎え入れてくれるようだった―――

 

(了)

結局こうなっちゃうわけだ、と(笑)

ええもう、皆主サイトですから、我が家は。