■救済措置(笑)
■玖隆Ver.
そのままトボトボと歩き出した俺。
きっと随分情けない姿だ。
これで世界をまたに駆けるトレジャーハンターだって言うんだから、笑ってしまう。
そんな俺でも、泣く時は泣くんだ。
辛くて苦しくて、今、ここから確実に失われていく温もりを思って泣く。
この涙はお前のもの。
本気で焦がれた、お前に捧げるもの。
「おい、晃ァ!」
いきなり大声で呼ばれて、俺はハッと空を見上げる。
「お前に一つ、言い忘れてた事があった!」
「甲太郎?」
屋上から覗いていた。
胸の奥が、ズキリと痛んだ。
今はもうこんなに遠い。
甲太郎の姿がかすんで見えない。
これは、離れているせいだろうか―――それとも俺の眼が涙で曇っているせいなのか。
「あのなあ!」
ゴホンと咳払いをして。
「いいか、一度しか言わねえ、だから、よく聞け!」
あたりに人影は無い。
ここにいるのは俺達二人だけ。
だからだろうか?
様子が、いつものあいつらしくない。
馬鹿みたいに必死になって、らしくもなく切羽詰っている。
「俺はァ」
「お前がァ」
―――ためらった。
「お前がァ」
「ダチじゃなくてェ」
「好き、なんだァ!」
―――――――――言葉が、出ない。
「聞いてんのか、コラァ!」
馬鹿な奴。
どこまでふてぶてしいんだ。
お前、人を振り回すにも、限度があるぞ。
「晃ァ」
俺は口の脇に手をあてて、叫んだ。
「こーうーたーろーうー!!」
「何だァ」
「―――キス!」
はたと、甲太郎が叫ぶのをやめる。
フェンスにめいっぱい身を乗り出して、俺を見ている。
「しにいっても、いいか?」
最後は普段よりもっとずっと小さな声で。
けれど、甲太郎は照りつける夕陽よりずっと眩しい笑顔で、ニッと笑ってくれた。
「―――なら、早く戻って来い!」
俺も満面の笑みを浮かべて駆け出す。
今歩いて来た道を、あいつの元に向かって。
「俺って、安い」
呟く傍から笑ってしまう。本当に安い。
うそつきで無くなった俺を、放課後のぬるい気配が優しく迎え入れてくれるようだった―――
(了)
結局こうなっちゃうわけだ、と(笑)
ええもう、皆主サイトですから、我が家は。