グッタリとうな垂れていると、やれやれと頬にキスされる。
「なら、今日は特別コースと行こうか」
「と、特別、って?」
「興味あるか?」
今更突っぱねることもできなくて、無言で頷く晃に甲太郎は瞳を細くする。
「じゃあ、してやるとするか」
ズルリ。
まるで自分の一部のようになっていた熱量の失われていく感触に、体が無意識のうちに局部を収縮させていた。
「オイオイ―――名残惜しいのか、晃?」
「ば、バカッ、そんなわけ」
「ならそう締め付けてくれるなよ、またすぐ、咥えさせてやるから」
「い、いらないっ」
「嘘つけ」
床に座らせられて、ぼんやりしていると甲太郎が正面に腰を下ろす。
いつのまにか衣服を脱ぎ捨てていた。
向かい合うように腰を下ろして、体の両脇に腕をついて顔を寄せてくる。
瞼を閉じると、唇が重ねられた。
長く甘いキスは、晃の口腔内を舌先で何度もなぞり続けた。
伝わるように流れ込んでくる唾液を飲み込んで、息苦しさに負けてこちらからも舌を絡みつける。
甲太郎は、感触を楽しむように音を立ててしばらく繰り返した。
「んふ―――」
離れると、目の前の男前がいつに無く優しげに微笑みかけてくる。
「キスの腕が上がったんじゃないのか、お前」
「うるさい、ボケ」
「相変わらず口が減らないな、もっとキスが必要か?」
「いらねえってんだろッ」
頬を赤らめると、クスクスと笑われた。
それで急に恥ずかしくなって、睨みつけると今度はよしよしと頭を撫でられた。
「じゃあ、お前にとっておき第一弾をしてやろう」
「だ、第一弾?」
そうだ。
甲太郎がニヤリと笑う。
「気に入ったら他にも色々してやるよ、まずはお試しだ」
両腿に腕をかけて、軽く開かせられる。
「何―――」
瞳を見開く晃の目の前で、甲太郎はエプロンの下に頭を潜らせた。
舌先が、二度の交接でぐしょぐしょに濡れた局部をツ、となぞる。
「やあッ」
ビクンと震えて閉じかける両足を、掌がしっかりと押さえつけていた。
力の入らない今の状態で、それ以上の抵抗などできるはずも無い。
チュ、と音がして、局部に口付けされている。
「や、やめろ、バカ!そんなとこ、な、何考えて―――アッ」
赤く腫れ上がった襞に唇が吸い付いた。
愛液を滴らせる内側に舌先を潜り込ませて、中を満たす液を掬い出していく。
「あ、アアッ、や、やめ、イヤッ、だ」
晃は両手で甲太郎の頭を押さえながら、俯いて唇を噛み締める。
例えようの無い快楽が何度も背筋を駆け上がっていく。
唇の動きは実に巧妙で、濡れた秘肉に何度もしゃぶりついては、軽く噛まれたりもした。
その度に、ビクビクと全身が震えてしまう。
「ヤッ、やアッ、あ、ア―――アン、アッ、ンンッ」
真下に見える豊かな胸元の、布の上からもわかるほど乳首がピンと立ち上がっていた。
その更に下で大きく開脚した中央、エプロンの裾の影から、ゆるいウェイブのかかった髪が覗く。
水音が響くたびに、強烈な快感に貫かれる。
舌の先端を尖らせて、中でクチュクチュと動かして、出し入れされるたびに晃は熱っぽい息を吐きながら身を捩じらせた。
「アン、あ、あ、ダメ、やめっ、て、ヤダ、ヤダ」
指の間の髪を軽く握る。
「ヤあッ」
「素直にイイって言え」
首をフルフルと振って、声を飲み込んだ。
これ以上、感じている姿を晒したくない。
けれどそんな自身の意思とは裏腹に、羞恥を伴ういやらしい行為は興奮の速度を加速させていくようだ。
火照りの納まらない体が過敏に反応している。
チュパ、チュパとしゃぶりつかれる度に、沸き起こる快感がもう限界まで高まりつつあった。
「アア―――アン、アッ、ウウッ」
溢れ出す愛液を、時々すすって飲む音が聞こえる。
「バ、かやろ、こ、この」
晃はヒッと息を吸い込んだ。
ビクンと体が収縮して、吸い付いている唇がとどめのように愛撫を施す。
髪を握っていた掌でいつのまにか頭を抱え込んで、ひときわ大きな快楽の波に思わず腰が跳ねてしまった。
直後に、腹の奥のほうでわだかまっていた何かがすっと薄まるような感覚を覚える。
荒い呼吸を繰り返して体を折り曲げると、エプロンの影から起き上がった甲太郎が軽く口元をぬぐった。
瞳を細めて、そのままキスをねだってくる。
求められるままに唇を合わせて、離れると、うっとりした眼差しに至近距離で見詰められた。
「どうだ?」
「な、にが」
「第一弾、良かっただろ?」
「ふ、ふざけんな、何が第一弾だ、こんなこと、もうこれ以上お断りだ」
「なんだ、良くなかったのか?」
「そういう、事を、言っているわけじゃ、ないッ」
晃にはもう訳が分からなくなっていた。
さっきから意識は朦朧としていて、状況すら把握できていない。
触れられるたびに、それまで以上に昂ぶってしまうようで、一体どれほど求めれば収まるのか、見当もつかなかった。
ただ、疼きはまだ止んでいない。
目の前には熱っぽい顔をした甲太郎がいる。
だから晃は腕を伸ばして、肩を抱き寄せていた。
「―――晃?」
ほんの少し動揺した様子が見えて、そのまま唇を寄せて、キスをした。
自分でも驚くほど自然な行為だった。
抱き返してくる片腕が、もう片方の腕で支えながら、体重をかけて仰向けに倒されていく。
両脇に肘をついて、軽く体を起き上がらせた甲太郎の顔が陰になっている。
「お前」
何か言いかけて、その先はキスに飲み込まれた。
深く、埋もれるように唇を重ねて、ゆっくり上半身を起こしながら晃の両足を抱える。
下腹部を持ち上げられて、眼下の様子が露にされた。
まるで果てる事を知らないように、怒張した彼の一部が先端を定めてズブズブと入り込んでくる。
「あっ、ああっ、あっ―――」
卑猥な光景に、視線を背けることもできず、ただ声を洩らしながら行為を見送ることしかできない。
見慣れた形状よりも更に大きく、太く、赤黒く変色した男根が、秘肉を掻き分けて体の奥深くへと沈められていく。
根本まで入った所で微かに息を呑み、再び乗り上げて、眼の前に戻った瞳を潤んだ眼差しで見上げた。
「晃」
名前を呼ばれると何かが胸を貫くようで、きゅっと締め付けられる感触に甲太郎は薄く笑う。
「ちゃんと約束、守っただろ?」
「ば、バッ、カ」
「後はその減らず口さえなくなれば、もっといいんだが」
「ふ、ざけ、る、なッ、アアッ」
グ、と突き上げられて、全身がしなう。
初めから勢いよく律動が始まって、晃は甲太郎の下で大きく上下に揺すられだした。
滴り落ちた二人分の体液は混ざり合い、背中まで伝ってヌルヌルと広がっている。
床の上で濡れた音を立てて、体が滑る。
エプロンはすっかり汚れて、乱されて、すでにみる影も無い。
甲太郎は上半身を起こすと、布に隠れた乳房を取り出して、両手で鷲掴みにして強く揉み始めた。
「ヤッ、い、イタッ、あ、アン、アン、アッ、だ、ダメぇッ」
「もっと、声、聞かせろッ」
いつになく激しい律動に、頭の奥が真っ白に染められていく。
熱い体が何度もぶつかり合って、その度に火花が飛び散るようだ。
ジュッポジュッポと卑猥な水音が聴覚にこだまして、どうにかなってしまいそうだった。
発情しているのは俺なのか、お前なのか―――
夢中で貪られて、それに応えるように腰を振って、気づけば爪を立てて背中にしがみついていた晃は甲太郎の腕の中で快楽の高みに手が届く。
「あ、ア、こうたろ、もう、ダメ、俺ッ」
「ああっ」
短い返事と共に、唇を奪われた。
滅茶苦茶にキスをされながら、ひときわ高く突き上げられて、全身がビクンと震えていた。
奥で、三度熱い精が放たれる。
広がる熱量とビクビクと収縮する動きに、肉襞が内側で震えながらキュッと締め付けていた。
直後に脱力して肩口に顔をうずめる晃を、甲太郎の片腕がしっかり抱きとめてくれた。
「晃」
こめかみにチュッと口づけられて、再び床の上に寝かされる。
見開いた先、優しい眼差しを見つけて、急速に意識は遠のいていった。
「こ、たろ」
名前を呼ぶと、キスが降ってくる。
甘い感触にまどろみつつ、瞼がゆるゆると閉じられた―――
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