居間で食後の麦茶を飲みながら、隣り合ってソファに腰掛けている。
閉じたカーテンの向こう側はもう夜の暗闇に包まれているのだろう。
蛍光灯に照らされた明るい屋内に時折風が吹き込み、カーテンの裾を揺らす。
「なあ」
テレビのバラエティ番組をのんびり眺めていた横顔が、不意に振り返って朋也の肩に腕を回した。
朋也は麦茶をテーブルの上に戻して、身を寄せる陽介を窺った。
「お前さあ、今日、女子に連れられて、どんな買い物したの?」
「ああ」
そのことかと朋也は思う。
(興味があるんだろうな)
無理も無い、それは、同性として非常によく解る。
実際自分も色々と未知の体験をさせていただき、多少有意義だったと言わざるを得ない。
少なくとも女性物売り場で堂々と商品を手に取って眺めたり、まして身につけてみたことなど初めてだ。
この経験はいつか役に立つだろう、そんなことすら考えつつ、多少着せ替え人形的に扱われて辟易しながら、女性物に対する興味と興奮半々くらいでなかなか楽しいひと時を過ごした。
男と比べて女の身だしなみは明らかに面倒で大変だ。
じっと見詰めてくる陽介に、朋也はそうだな、と話し始めた。
「後で見せる、半分はお前に買ってもらったものだし、えーと、シャツとパンツ、あと下着、靴」
「し、下着!?」
「やっぱりそこに食いついてくるか」
「う、うっせーな、男としては気になるだろ!」
「まあ、わからないでもないけれど」
「で?で?」
「ハイハイ、ブラジャーってひと口に言ってもかなり種類があるみたいだな、留め具が前だったり後ろだったり、ゴムが入って単純に被るだけのヤツだったり」
「お前の買ったのは?」
朋也は自分の胸をスルスルと擦る。
ゴクリと喉の鳴る音がした。
「後ろで留めるやつ、一番オーソドックスで形整えやすいって勧められた」
「形?」
「胸の」
「む、ムネぇ!?」
花村興奮しすぎと苦笑いする朋也に、陽介は赤くなって悪いと声を潜めた。
「ブラジャーって、ただ胸押さえるだけじゃないんだ、こう、あちこちから肉を持ってきて、詰めて詰めて、胸の形を綺麗に整える役割もあるんだって」
「へえ、そうだったのか」
「着け方も大変で、案外面倒だよ」
「女子って見えないところで色々苦労してんだな」
「俺が買ったのはワイヤーが入っているんだけど、コレで胸の肉が下に垂れないようにしているんだ、このワイヤーが結構締め付けてくるから、何となく息苦しい感じがする」
「大丈夫なのか?」
「着けてれば慣れるってさ」
陽介がふーんと呟きながら朋也の胸を見下ろしていた。
目が合うと、好奇心を孕んだ声で「触っていい?」と尋ねられた。
「いいよ」
苦笑いで答えた朋也の胸に、掌がフワリと押し当てられる。
「お、確かに、何か服の下にある感じする」
そのままムニュ、と揉まれて、陽介に凭れていた朋也は僅かに体を震わせた。
朋也の様子を窺いながら、陽介は胸を揉み続ける。
「ちょっ、と、花村ッ」
チュ、と頬に口付けされた。
陽介はシャツの裾から手を忍び込ませて、今度はブラジャーの上にダイレクトに掌を押し当ててくる。
「お前のデカイ胸さあ、こうして寄せて上げてするとスゲーな、俺の挟めちゃうんじゃないの?」
「は、挟むかッ」
「えーでも、男としては一度くらい体験してみたい」
「胸の大きな彼女でも作れ」
「んもー!俺はお前がいいんだって言ってるだろ?ったく、あんまそういうことばっか言うと泣くぞ」
勝手に泣けと思いながら、陽介と唇を重ね合わせる。
口腔内に舌が潜りこんできて、歯の裏を嘗められたり、舌同士を絡め合わせたりしながら、朋也はソファの上にゆっくり押し倒されていく。
「んハッ、は、花村ッ」
「名前で呼んで、朋也」
「よ、陽介、ンッ、ふぁ、ちょ、ちょっと、待って」
「待てない、朋也、エッチしよ?な?ンン、朋也ぁ」
「ちょ、待ッ、ん、ンンッ、ンは、あ、コラア!」
グイと押し退けられて、多少不満げな瞳が朋也に向けられる。
そのまま視線が下りていって、シャツの影から覗く胸元で止められた。
「おぉ!」
途端瞳を輝かせ、問答無用でシャツを捲り上げる。
ギョッとしている朋也の視界に胸元を覆う純白のブラジャーが晒された。
「やっぱこっちも白かー」
「や、やっぱって」
「テレビん中で戦ってる時スカートの中見えちゃったの、下が白だったからさあ、上も白なんじゃないかなーって」
陽介の指先がレース部分をなぞっていく。
「すっげヒラヒラ、フリフリ」
谷間のリボンをく、と押した。
「可愛い、朋也、女の子だなあ」
―――確かに今はそのとおりだけれど。
「おっぱいがブラジャーからあふれ出しそう、やっぱでかいなあ」
ツンツンと乳首の辺りを突付かれて、朋也は思わず艶っぽい吐息を漏らしてしまった。
陽介がブラジャーから覗いている胸元にキスを繰り返して、そのままカップの上から唇を押し当ててきた。
モグモグと唇を動かすたび、甘い刺激が朋也を悩ませる。
「や、やめろッ」
頭を押しのけようとすると、骨ばった手がブラジャーの端からスルリと潜り込んで乳房を鷲掴みにした。
「ひあ!」
ビクンと腰を震わせた朋也に構わず、陽介の掌は愛撫を始め、胸の谷間を舌が這い登る。
「よ、陽介、陽介ッ」
陽介は朋也の胸元に何度も口付けをしながら、ブラジャーの中に入れた手で胸を揉み、乳首を摘んでコリコリと擦り、胸から喉にかけて舐め上げられた。
「汗、かいてるから、ちょっとしょっぱいな」
「は!?ば、バカ、やめろ、舐めるなッ」
手の甲でブラジャーを胸の上に押し上げると、露にした乳房を改めて口に含む。
乳首を舐る音がテレビの音声に紛れてチュパチュパと居間に響いた。
「ひあ!あ、ア!ヨー、スケ、陽介、やめ、やめろッ」
目尻に涙を浮かべた朋也が首を振るたび、銀の髪がソファからサラサラと零れ落ちた。
唾液まみれの乳房から顔を上げて、陽介はもう一方も同じ様に愛撫を始める。
唇で乳首を挟み、強く吸い上げて、時折甘噛みしたり、舌先でチロチロと弄ったりする。
体を貪る陽介の肩に手をあてて、朋也はイヤイヤをしながら与えられる快楽に必死の抵抗を続けていた。
「やーらかい、朋也、好き」
「うるさい!」
チュ、と口付けをして、陽介が少し体を起こしながら、こっちはどうなってるのとそろりと手を這わせる。
布越しに股間の辺りに感じる温もりに、朋也は小さく喉を鳴らした。
「―――薄くてヒラヒラしてる」
「見ていー?」
「嫌だ」
「そんな事言わないで、いいだろ?な?」
陽介の手がスルスルと足の付け根を撫でた。
それだけでビクビクと体の震えてしまう朋也に、ニコッと微笑みかけながら、指先がパンツのボタンをピンと外す。
ジッパーを下ろす動きにきゅっと股に力を込めて抗うと、耳元で「コラ」と囁かれて耳朶を軽く噛まれた。
「やアッ」
僅かに緩んだ隙を突いて、パンツの中に手が差し込まれた。
「おーおー、もうココ濡れてんぞ、エッチなお汁でしっとりしてる」
「やッ、ヤダッ」
「内側ぬるぬる、朋也、やーらしい」
「嫌だって言ってるだろ、指を入れるな!」
起き上がった陽介が、朋也の片足を強引に持ち上げて、股の間に割り込んできた。
朋也が慌てて半身起き上がる前に、パンツをスルリと腿まで下ろされる。
レースに縁取られた滑らかな質感のショーツが屋内灯の光の下に露にされた。
「なんつー可愛いパンチィ!」
陽介があからさまに歓喜の声を上げる。
「ヤッバ!俺かなりムラムラして来たッ」
「み、見るな!」
「あとで見せてやるって言ってたろー?今更そんな事言わないでよ、それにもう見ちゃったし」
ニヤニヤ笑う姿から視線を背けて、朋也は唇を噛み締めていた。
(凄い、屈辱)
胸の上まで捲り上げられたシャツと同じく退けられたブラジャー。
陽介の唾液に塗れた胸元で赤く濡れた色の乳首が起ち上がっている。
時折吹き込む夜風が火照った肌をそっと撫でる。
下肢は腿までパンツを下ろされ、純白のショーツに覆われた股間を至近距離で注視されて―――かつてない辱めに晒されている気分だ。
気持ちがすっかり強張ってしまって、抵抗すらまともにできない。
朋也の気持ちと裏腹に、これからの展開に期待している体は勝手に発情して陽介を求めていた。
(うう、嫌だ)
そのうち完全にパンツを脱がされてしまった。
陽介は露になった朋也の両足を肩に担ぎ上げると、ショーツの股間に鼻先を寄せる。
「や、やめっ」
ギョッと目を剥いた朋也の伸ばした腕が届く前に、滲みのできたクロッチに鼻先をあてて、深く息を吸い込みながらウットリした眼差しが囁きかけてくる。
「エッチな匂いがする」
「か、嗅ぐな!」
陰部の香りを堪能しているらしい陽介の姿に気が変になってしまいそうだ。
羞恥で凍りつく朋也を眺めながら、今度はクロッチの上から唇を押し付けてきた。
唇を動かして愛撫を施しつつ、布越しに割れ目を這うように何度も上下になぞられる。
「ひあ、ア!ア!あッ!?」
後ろ手にソファにしがみつく朋也の乳房がフルフルと揺れた。
顔を上げた陽介は、指先でクロッチをずらすと、内側から現れた潤む秘貝に瞳をスウッと細くする。
「ここ、ぐちょぐちょでぽってりして、凄くおいしそう、なあ、朋也?」
「見る、なぁッ」
「ダーメ、こんなエッチになっちゃって、食べなきゃ勿体無いだろ、それにお前だってさ」
ペロリと舐められた。
朋也はヒッと身を固める。
「俺に食べられたいだろ?」
直接押し当てられた唇からジュルジュルと吸われている音と感触に両手で顔を覆い、声を押し殺して喘ぐ朋也の腰がガクガクと震えだす。
(ダ、メだ、こんなの、こんな、ことでッ)
下腹がビクビク震えて、知らず、両足に力がこもった。
腰を抱えて朋也の股間を啜る陽介の舌が膣内に這いこんできた。
首を振り、嫌だ、嫌だとうわ言のように呟きながら、ついに朋也は観念する。
込み上げてきた熱い快楽の波が意識も何もかも更って、白い喉から悲鳴の様な声がか細く上げられた。
快楽の峠を越え、全身をヒクつかせながらボウッとしている朋也の上に、陽介がゆっくり圧し掛かってくる。
「イッちゃったな、朋也?」
「バカ、やろッ」
「気持ちよかったんだから、怒らない、怒らない、それより俺もうパンパンなんだけど」
挿れていい?と尋ねられて、朋也はボンヤリ陽介を見上げながら、またここで?と問い返した。
「ソファ、汚れる」
「じゃ、床でしよ、フローリングだから後拭くだけだし」
「床、って」
「挿れてから抱っこして下ろしてやるよ、一回やったら、続きは俺の部屋で、ね?」
朋也が答える前に、腰を抱えた陽介が屹立した男根の先端を熱く潤む秘所に押し付け、グッと突きこんできた。
亀頭の沈められる感触にビクリと体を震わせる。
そのままズブズブと侵入を始め、荒い呼吸を繰り返す朋也の内側に程なく全て納めると、陽介は片腕で朋也の背中を抱え、もう片方の手で臀部を支えながら、華奢な肢体を持ち上げ、繋がったままゆっくりソファを下りた。
内側で男根が擦れる感触に、朋也は陽介にしがみついてビクビクと体を震わせる。
陽介はズボンの前だけ寛がせて、クロッチをずらした脇から挿入を果たしていて、膝の上に乗せられた朋也の格好といえば上半身シャツとブラジャーをたくし上げられた下からたわわな乳房が覗き、下肢はショーツとソックスだけという酷いものだった。
陽介の唇が乳首を含み、掌で愛撫し、唇を求めながら問いかけてくる。
「ねえ、服着たまま俺としてる感想は?」
「さ、いあ、く」
「言う割には中でキュンキュン締め付けてくるんですけど」
「うる、さ、アッ、こ、れは、ンッ、う、生理、現象ッ」
「お前さ、素直に気持ちいいって言っちゃえばいいのに」
蕩けた笑顔が幸せそうに微笑みかけてきた。
「俺はお前の中、気持ちくて最高、朋也、大好き」
「ン、陽介の、バカぁ、ヘンタイッ」
「ハハ、そういうのもカワイーな」
再び胸元に顔をうずめた眼下の茶髪を抱きしめながら、朋也はぐいぐいと揺さぶられる腰の動きにあわせるように甘い声を漏らし始めた。