「今日は天気がいいなあ」

蒼天の下、ううんと伸びをする。

晃の姿を甲太郎は見ている。

重い金属の扉を閉めると、辺りは降り注ぐ白い光だけがあった。

「みんな、今頃授業受けてんだよな」

つま先でコンクリートの床を蹴るので、甲太郎は笑いながら給水等の脇に手招きした。

「さて、それじゃどうするか考えるか」

「考えるっていってもなあ」

向かい合って腰を下ろしつつ、晃が大きく溜息を漏らす。

「具体的な原因がよく分からないんだし、実際対処の仕様もないと思うんだけど」

「原因になった薬の調合配分は覚えてないのか?」

「さっぱり、勢いで作ってたところがあるし、最後は殆どなんでもやってやれって感じだったから」

のん気な言葉に頭痛がしてくる。

そんな怪しげなものを、よく試飲する気になったものだ。

甲太郎の思惑を感じ取ったのか、とりあえず食べられるものしか混ぜていないはずだと小さな声が付け足した。

「食べられるものって、肉とか調味料とかか?」

「蛇の胆とか、蝙蝠の羽も大丈夫だろ、あと、触手も」

「―――お前は大物だよ」

アロマに火をつけてひと吹きする。

腕を組んで唸っていた晃が、不意に胸元のボタンをいくつか気にするような素振りを見せた。

「どうした」

「ん、ちょっと」

「何だよ」

なぜか少し照れたような視線が、上目遣いに甲太郎を睨んだ。

「さ」

「さ?」

「―――さらしが、苦しいんだよっ、目いっぱいきつく巻いたから息苦しくて」

「どれ」

触ろうとした途端、何するんだバカと平手が飛んでくる。

甲太郎はひょいと除けてあからさまに心外な顔をした。

「違う、ここには俺しかいねえんだから、今だけ開けときゃいいだろ」

「でも誰か来たら」

「こんな時間にか?誰も来ねえよ、心配なら鍵でもかけとけ」

晃はしばらく考え込んで、屋上のドアへ向かうと本当に鍵をかけてきてしまった。

呆れる甲太郎の傍に座りなおすと、おもむろに制服の前を開き始める。

「女の子は大変だよな、いざこうなると凄く邪魔だし、鬱陶しい」

シャツの胸元まではだけて、手を突っ込むとさらしを緩めているようだった。

甲太郎は吸い差しのアロマの火を消した。

フイと手を伸ばし、集中している晃の腕を捕まえる。

「えっ」

驚いたように振り返った、その唇にキスをした。

腕の中に抱き寄せて、腰に手を回すと、慌てた仕草が懸命に押し返そうとする。

「こ、甲太郎、何?」

首筋にキスを落とす。

「コラ!ちょ、ちょっと、やめろっ」

こうして抱きしめてしまえば、幾ら男物の制服で体型をごまかしていても華奢なラインは明らかだった。

指先を這わせてシャツの中身をまさぐろうとすると、バチンと頭を叩かれた。

「バカ!何サカッてんだ、ここがどこか分かってんのかよっ」

「屋上だな」

「が、学校だろうが、それにお前、朝だぞ、こ、こんないかがわしいこと」

「いつだってどこだって関係ないだろ」

晃が怒鳴る前に、甲太郎はキスで口を塞いだ。

女になっている自覚もなしに、男の前でシャツをはだけて見せるほうが悪い。

―――多分。

もがく晃の両手首を捕まえて、殆ど開いていたシャツのボタンを全部外して前面をはだけさせる。

男のときには多分出来なかっただろう、強引な手段だ。

さらしに巻かれた胸が、確かに窮屈そうだった。

「ば、バカ、あ、見るなッ」

指先を差し込んで少し解くと内側から豊な胸が露出する。

ちらりと覗いた乳首に吸い付くと、晃がアッと声を洩らす。

「こ、甲太郎、このバカ、やめっ―――うッ!」

まだ絡みついたままのさらしの上から片方の乳房を掌に納めて、揉む度に全身がビクビクと震えた。

晃の手が、堪えるように甲太郎の髪を弱々しく握りしめる。

「や、やめろ、お前、昨日俺に言ったじゃないか、何もしないって」

「昨日は昨日、今日は今日だろ、今日はまだ約束してないぜ」

「うそつきっ」

唇から熱い吐息が漏れた。

甲太郎はニヤリと微笑んでいた。

音を立てて乳首を貪ると、耳障りのいい鳴き声が耳元で切なく響く。

「あ、ヤッ、こ、この、バカッ」

膝の上に抱き上げられて、学生服の胸元に埋もれている頭を、晃の両腕がきゅっと抱きしめていた。

舌先や唇で嬲られるたびに、沸き起こる快感に下半身が熱くなってくる。

触れ合う腿の付け根の、前部が膨張していることに気付いて顔に血が上るようだった。

肌の上を滑る掌は体のラインを楽しむようにあちこち触れているのに、肝心の部分には一向に到達する様子がない。

(そこじゃ、ないのにっ)

もじもじと腰をゆすっていることに気付いて、晃はひどく動揺していた。

気持ちが伝わってしまったのだろうか、キスを落とす甲太郎の指先が性急にベルトの前を解く。

「あ、ちょ、ちょっと待て!」

止める間もなく掌がするりと滑り込んでくる。

触れられた箇所は、すでにぐっしょりと濡れ細っていた。

「下着は男物だな」

乳首をぺろりと舐めて、下から笑いかける甲太郎に晃は顔を真っ赤に染めた。

「あ、当たり前だろうが!女物なんてつけられるかっ」

唇に吸い付いてくる勢いに押されて、仰け反った背中を支えるように腕が回される。

執拗に内側をかき混ぜられつつ、そのまま徐々に押し倒された。

コンクリートの上に横たわると、のしかかってくる甲太郎の手が器用にズボンを腿までひき下ろして、秘所を露にされてしまった。

朝の外気が熱を帯びた表皮をひんやりと撫でていく。

「んっ、んんっ、んふ、あ、あ、アアッ」

恥ずかしくて閉じようとする両足をこじ開けて、クチュクチュとうごめく骨張った感触の隙間から愛液がとめどなくこぼれて落ちる。

必死で首にしがみついて、喘ぐ晃をなだめるように甲太郎はキスを繰り返した。

「あ、や、やめろ、バカ、バカッ」

「今更やめたら辛いだろうが」

指を不意に引き抜かれて、黒い双眸が力なく甲太郎を睨んだ。

「怒るなよ、晃」

微笑んだ唇が触れる。

「この、色情魔っ」

「なら、それらしくしてやろうか?」

合間にカチャカチャと音が聞こえた。

少し腰を持ち上げられて、濡れた秘所に硬い先端が突き付けられる。

「あっ、ば、バカ、それはっ―――ン!」

ぐ、と入り込んだ異物が、じわじわと内側を侵食し始めた。

「い、いや、だ、ヤダ、ヤダ、やめ、あ、あ、あ、アウッ」

くちゅっと音を立てて、柔らかく濡れた秘所の入り口に根本がぴったりと重なる。

ユサユサと揺さぶりだすと、晃の唇から切ない吐息が漏れた。

「こ、たろ、甲太郎、や、ヤダ、ヤダ、やめろっ、ア、ンン、う、アンッ」

「晃」

耳元を掠める低い囁きに、快感が内側をゾクゾクと駆け抜けていく。

全身が粟立って、繋がった部分がドクドクと熱い。

晃は息を止めて甲太郎にしがみつくと、ギュッと双眸を閉じて堪える。

「オイ、力を抜けよっ、そう締め付けてくれるのは嬉しいが、ちょっときついぜ」

「な、何言ってんだ、お前こそ―――アウ、う、出てけ、よっ」

「今やめたらお互い消化不良だぜ、そんなことできるか」

「ふ、ふ、ふざけん、なっ、アアッ」

徐々に雑念を取り払っていく感覚の昂ぶりに、ぼんやり開いた視線の先には青空が広がっていた。

影になった甲太郎の姿を朝の光が白く縁取っている。

響き渡る卑猥な水音に混じって、二人の熱い吐息が絡み合っている。

今、こんな場所で行為に耽っている生徒がいるなんて、一体どれほどの人が想像するだろう。

不意に、授業終了のチャイムが鳴り響いた。

晃がビクリと体を震わせて、甲太郎がウッと低く声を洩らす。

「こ、甲太郎、じゅ、授業が!」

「いいから、落ち着け」

律動が縦に変わる。

性器が中を出入りし始めた。

「だ、ダメだ、ダメ、本気でヤバッ―――ウッ、アッ、み、見られたら!」

「心配するな、この時間帯は誰も来ない」

「でもっ」

「屋上の帝王が言ってるんだ、信用しろよ」

くだらない冗談を揶揄する余裕もなかった。

集中できない晃を見かねて、甲太郎はきゅっと口元を固く結ぶ。

「今は余計な事を考えるな、そんな場合じゃ、ないだろっ」

引き抜いた局部を、一気に奥めがけて突き上げる。

眼下の姿がハッと息を飲むのがわかった。

甲太郎は構わず、肌をぶつけ合うようにして激しい抽挿を始めた。

コンクリートに背中を擦られながら、晃が悲鳴のような声を上げる。

「いや―――だァッ、甲太郎、甲太郎!あ、あっ、アア!」

ビクン、ビクンと体中が震えて、さっきまでとは比較にならないような快楽が体中を駆け巡っている。

思考は完全に飛ばされてしまった。

必死で肩に掴まりながら、喘ぐ晃の両足を甲太郎は高く抱え上げる。

上から覗き込むようにして、唇を重ねあわせた。

貪るようなキスの合間に貫く衝撃を受け止めて、秘肉が愛液の洗礼を施す。

遠くで、二度目の鐘の音が聞こえたような気がしていた。

混ざり合う水音がどちらのものか分からなくなった頃、苦しげな声が耳元で囁きかけた。

「晃ッ、い―――くぞッ」

「ん、ンうッ」

コクコクと頷き返す肩口に吸い付いて、一際深く突き上げた瞬間、体内で熱いものがほとばしっていた。

「アッ、アアッ、アア―――ア!」

潤んだ粘膜を、大量の体液が満たしている。

唇を重ねて、離れた先、火照った顔の甲太郎がうっとりと瞳を細めていた。

「晃」

汗で張り付いた髪を除けて、額にキスを落とす。

頬に、こめかみに、降ってくるキスの雨に、晃も深い吐息を洩らしながら瞼を下ろしていた。

甲太郎の口付けはまだ続いている。

繋がったままの体が、気だるくてやけに愛しかった。

温かな日差しが二人の上に降り注いでいた。

 

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