浴場は、案の定しんと静まり返っていた。

脱衣所に衣服を置いておくと怪しまれるかもしれないと考えて、タオルでくるんで一番隅の奥のほうに隠すようにしまいこむ。

途中、備え付けのランドリーの中に汚れた下着やシャツも放り込んできたから、手早く入浴を済ませて洗濯物を回収して、部屋へ戻ればとりあえず一段落着くだろう。

外のドアに清掃中の札をちゃんとかけた。ぬかりない。

横開きのガラス扉を開けて、広々とした洗い場に晃は立っていた。

一糸纏わぬ姿。

この場に常時のように男子生徒がひしめいていたら、大騒ぎになっていただろう。

白い肌、豊かな胸、艶かしい腰のラインと、引き締まったヒップ。綺麗な太もも。華奢な首筋、肩。

「ど、どこからどうみても、女だ」

鏡に全身を映してみて、改めて衝撃を隠しきれなかった。

晃はグッタリと椅子を取り出すと、蛇口の一つの前に腰を下ろす。

ノズルを回すと熱いお湯と水が出てきた。

適当な温度に調節して、シャワーに切り替える。

暖かな感触が肌に触れた途端、安堵と共に深く満ち足りた気持ちが胸の奥に広がっていく。

「生き返るなあ」

しみじみ呟いて、ちょっとだけ泣きそうになっていた。

鏡に映った少女は可愛らしい顔に涙を浮かべてこちらを見ている。

これが自分なのかと思うと、本当に泣いてしまいたいようだった。

「もういい、早く綺麗になって、部屋に戻ろう」

ぽつりと呟いたその時。

ガラス扉の向こうで、気配がした。

晃ははっと顔を上げる。

(や、ヤバイ、誰だろ、まさか管理人か?)

そんなはずは無い、管理人も清掃員も午前中しかいないし、立ち入り禁止の札はちゃんと降ろしてきたから生徒だって入ってこないだろう。

脱衣場の扉からでは、その先の洗い場の音は聞こえない。

第一入浴時間はもっとずっと遅いのだし、どうまかり間違ってもここに誰か来るはずが無い。

(で、でも、人がいる、よな)

心臓がバクバクとなっていた。

この体を見られてしまったら、言い訳なんて出来ない。

少しの油断が命取りになったのかと、ワナ解除中くらいの緊張感が晃を襲っていた。

(出てけ、出てけ―――)

呪いのように祈る。

シャワーの音がタイルに反響していた。

(出てけ、出てけ―――)

気配は中を窺っているようだった。

しばらくうろうろして、不意に蒸気で曇ったガラス扉の向こうに人影が映る。

(で、出てけ、出てってくださいっ)

晃は無意識のうちに胸と股間を腕と手で隠していた。

扉がカラカラと開かれていく。

(も、もうダメだ、おしまいだ―――)

湯煙に隠れるようにして、この場所からの脱出方法に考えをめぐらせていると。

「―――晃?」

「え?」

きょとんとした晃の前に現れたのは、甲太郎だった。

しかも、なぜか脱衣を済ませて腰にタオルを巻いている。

すっかり拍子抜けして目を白黒させていると、やっぱりお前だったかなどと言いながら傍までやってきた。

「早退したって聞いたから、こっち戻ってるんじゃないかと思ったんだ、正解だったぜ」

「な、こ、甲太郎、なんで?」

甲太郎は答えずに鼻をフンと鳴らす。

「お前こそ何コソコソ風呂になんか入ってるんだ、まだ入浴時間じゃないだろう」

「お、お、お前こそ!なんだよその格好」

「服着て風呂に入るバカもいないだろう」

「そうじゃなくて!」

気にするなとか適当な事を言いながら、甲太郎は椅子を持ってきて晃の隣の蛇口の前に座る。

シャワーの温度を調節する様子をまじまじと眺めていると、そういえば湯船に湯は張ってあるのかと尋ねられた。

「し、知らない、蓋がしてあるから」

晃は混乱しながら立ち上がると、湯船の蓋を取って中を見た。

すでに温かな湯が満たされている。

「お湯、あるぞ」

「大方、朝の清掃員がめんどくさがって張ってったんだろ、職務怠慢だぜ」

のん気な声に振り返ると、甲太郎は体を洗い出していた。

どの辺りに突っ込みを入れたらいいのか散々迷って、椅子に戻った晃が言えたことは結局これだけだった。

「何で俺がここにいるってわかったんだよ」

「部屋にいなかったからだ」

全然答えになっていない。けれど、甲太郎はそれ以上詳しく話すつもりは無いようだった。

晃は大仰に溜息をついて、手ぬぐいを桶に浸しながら、はっと隣を見る。

「こ、甲太郎!」

「あ?」

「お前、み、妙なこと考えたら、はっ倒すからな!」

「何だそりゃ」

「だだだ、だから!」

胸と股間を再び隠す。

こいつは所構わず友達を押し倒すようなけだものなんだ、うっかり一緒に風呂になんか入ってる場合じゃない。

晃の視線にやれやれと呟いて、甲太郎は気にするそぶりも見せずにのん気に体を洗い続けていた。

「そんなことよりお前も早く洗っちまえよ、時間かかるとやばいんじゃないのか」

「そそそ、それは、そうだ、けど」

「なら早くしろ、俺はお前の不良行為に便乗してるだけだから、気にするな」

油断無く様子を伺いながら、晃も手ぬぐいにボディソープを落とす。

体を洗い始めても、甲太郎はまったくこちらを見ようとしなかった。

晃は考えて、少し、警戒を緩めていた。

(そういえばこいつ、前に風呂が好きとかなんとか言ってたような)

陽の光の差し込む浴場は、状況を抜きにして見渡せばかなり清々しくて心地良い。

寮則違反だけれど、日頃ひしめき合って入浴するのと違って、貸しきり状態での利用はなかなかの開放感だった。

肌の上を滑る泡の感触はなめらかだ。

体を洗い始めてしまうと、細かい事はどうでもよくなってしまった。

晃は改めて、膨らんだ胸の形や、腰のくびれ、腿の形を確かめるように手ぬぐいを動かしていく。

(女の子の体って、こうしてみると想像以上に柔らかいな、それに、何か綺麗だ)

股間に見慣れたモノを見つけられなくて違和感を覚えるけれど、少女の体だと思って窺うと妙に好奇心をそそられる。

ここはどうなっているんだろう、ここは、どんな感じなのだろうと観察しながら洗っていたら、突然背後から抱きしめられていた。

晃は慌てて振り返る。

「こ、甲太郎!」

「―――なにいやらしいことしてんだ、お前」

「は?」

気付けば指先が股間の割れ目に触れていた。

うわあといいながら振り上げた腕をつかまれる。

そのまま首筋にキスをされて、背筋がザワワッと総毛立っていた。

「ちょ、ちょっとお前、何してるんだよ!」

答えの代わりにキスが、そして、左右の乳房を甲太郎の掌が包み込む。

ゆっくりと揉まれて、晃は思い切り動揺した。

「バカ!いい加減にしろ、お前また」

「お前が悪い、晃」

シャボンの泡でヌルヌルになった肌の上を指先がなぞり、両腿の付け根に到達する。

「こんなところ、一人でコソコソ触りやがって」

「ち、違」

「体洗ってて欲情したのか、しょうもないな」

「バカ!」

振りほどこうとしたけれど、背後の甲太郎は両腕でがっちりと晃を押さえ込むように抱いている。

背筋にあたる感触の一部が熱を帯びて膨張していることに気付いた。

すでに勃起しているのかと、血の気の引くような思いがした。

また、なのか?

指先がツプリと挿入される。

「っあ!」

晃がビクリと体を震わせる。

頬にキスをされて、片方の掌で乳房を弄ばれながら、もう片方の掌は恥丘を包み込むようにして秘所に触れている。

入り込んできた指が第二関節辺りで折れ曲がってくにゅくにゅと内側を擦りながら、他の指で少し上のほうに突き出した肉芽を擦られた。

必死に踏みしめようとする、両足に力が入らない。

「こ、甲太郎、やめろ、よっ、こんな所で」

「人払いはお前がちゃんとやっただろう、俺でもなけりゃこんなところにこねえよ」

「そのお前は、どうしてここに来たんだ」

「勘だ」

ニヤリと微笑まれて、晃の頬にカッと朱が差す。

そのまま唇を貪られて、更に首筋や、肩に、吸い付くようなキスが落ちてきた。

指先でコリコリと乳首を擦られたりつままれたりするたび、体中がビクンビクンと震える。

下肢を嬲る感触もその一端を担っていた。

ヌルヌルした指先を引き出して、今度は手の位置が逆になった。

さっきとは反対の手が、それぞれ対の手が行っていた動作を晃の体で反復する。

「あっ、あっ、あう、う、イヤ、嫌だ、嫌だ」

首を振る晃の耳元で甲太郎が囁く。

「その割には濡れてるみたいだが、これは、ボディソープのせいじゃないだろう?」

くちゅ、くちゅと、シャワーの合間に聴覚を刺激する音が聞こえる。

触られている部分だけ妙に泡立ちがいいようだった。

指先が出入りを始めて、そのたび、悩ましげな吐息が唇からこぼれた。

ボディソープにまみれた体は、甲太郎の腕の中でヌルヌルとよく滑る。

気付けば開脚した両足の奥が目の前の蛇口の上に取り付けられた鏡に映し出されていた。

羞恥に目を剥いて、大慌てで背けようとした顔の脇、肩の上に甲太郎の顎が乗ってくる。

「見ろよ晃、お前が今どんなことになってるのか、よく映ってるぞ」

「や、ば、バカっ、この変態、こんな、こんな―――アッ」

「ほら、あんなに赤く腫れてる、おまけにわかるか?俺の指が、ホラ」

「やアッ」

根本まで入れた指を第一間接まで引き抜いて、また入れる行為をしばらく繰り返して、最終的に指は三本まで増やされてしまった。

背け切れずに凝視した先、鏡の中で、甲太郎がうっとりと首筋に舌を這わせている様子が見える。

その片方の手は相変わらず乳房を弄びながら、もう片方は晃の秘所を思う様かき混ぜ続けていた。

抱かれている晃は赤い顔をして、短い呼吸を繰り返しながら自分でも驚くほど艶っぽい表情を浮かべていた。

―――やらしい。

すっかり力の入らなくなった四肢を甲太郎の胸に預けつつ、思う。

たった二日程度でこんなに開発されてしまった。

っていうか、俺って元々こんなタイプの人間だったわけ?

考えて落ち込む、そして猛烈な勢いで否定した。

これは全部、甲太郎が悪い。

同意も無しに関係を持たされて、その後も自分に欲情し続けているこいつが悪い。それに、それに―――

(何でこいつ、こんなに上手なんだよっ)

昨日もふと思ったことだけれど、愛撫の仕方が絶妙にうまい。

キスくらいしかした事のない晃にとって、性交渉は未知の領域だ。

女の子を前に、その時がくればたぶんうまくやれるとは思うけれど、やっぱりちょっと不安が残る。

それなのに甲太郎は最初部屋に駆け込んだとき、強引に求めてきた時からうまかった。

今だってそうだ、風呂場でこんなマニアックプレイ、普通の男子高校生ならちょっと思いつかないと思う。

背中にこすり付けられる下肢前部の感触がたまらない。手の動きだって、決して苦痛や不快を伴うことも無い。

そこまで考えて晃はギュッと目を閉じた。

(何感心してんだ、俺!)

そうだった、今はそんな状況じゃない。

大体甲太郎だって普通に十八年も生きてきたんだから、それなりに関係を持った女性だっているはずだ。

(俺は、まだだけど)

初めては女の体に変身して、しかも友達に食われちゃいましただなんて、笑い話にしかならないと思う。

「晃」

耳元で囁かれると、電流が抜けていくようだった。

きゅっと引き締まった秘所に、甲太郎がフッと笑う。

「何、笑ってん、だよ、フッ、う、ウウッ」

「別に」

「お前、い、いい加減に、しろよっ、あ、ハアッ、ハアッ、この、変態」

「その変態に弄られて喘いでるお前は何なんだ、淫乱か?」

「なっ」

思わぬ反撃に顔を赤くすると、今度は声に出してクックと笑われた。

どうも、回を増すごとに調子に乗っている気がする。

抵抗するか逃げ出すかしたいのに、間断なく続けられる愛撫に力が入らない。

悔しくて鏡越しに睨みつけると、甲太郎は瞳をすっと細くした。

「そんな色っぽい顔しても、効かねえぞ」

大分息が上がっている。

刺激に耐えるのも、そろそろ限界だった。

甲太郎の指先がうごめくたびに晃の体が震えて、鏡の向こうの少女は男子生徒の腕の中で苦悶の表情を浮かべている。

赤く色づいた乳首がいやらしかった。

湯気で曇った表面でもはっきりわかるくらい、感触の出入りする秘所が陽光を反射してヌラヌラと輝いていた。

「あ、晃」

切羽詰った甲太郎の声が囁いて、急に腰に腕が回された。

そのまま抱き上げられるので、嫌な予感がしてびくりとする。

「ちょ、ちょっと、ア、こ、甲太郎?」

椅子から引き下ろされると同時に、湿った秘所の入り口に何かが押し当てられる。

すっかりぬるついたで入り口をいきり立った先端でクチュクチュと擦られて、思わず声が漏れていた。

「アッ、アッ、だ、ダメ、イヤだっ」

鈴口からこぼれだす先走りの雫が、零れ落ちる愛液やボディソープと交じり合って晃の腿を伝い落ちる。

焦らすように数度、割れ目をなぞられて、不意に強烈な圧迫感がぐっと押し込まれてきた。

体中が鞭打たれたようにしなう。

「ひアッ、ア!」

そのままズブズブと引き寄せられて、甲太郎の上に腰を下ろすと、怒張した局部はすっぽりと秘肉の内側に飲み込まれていた。

軽く腰を揺らされただけで、たまらない快楽に貫かれる。

 

長いから続きへ)疲れたよ…(笑)