Love Life 5

 

 目が覚めると、もう夕方のようだった。

昼頃ようやく起きられるようになった晃が早速調合を始めてしまったので、構ってもらえない甲太郎は半ばフテ寝を決め込んでいたのだった。

学校に行けと散々呟く声を全部無視して、一緒に昼食を取った後からずっとこの部屋のベッドを占拠している。

食事もここで取った。

晃が簡単に調理したものを食べた。どこかからくすねてきたカップ麺と、レトルトのカレー。

「これ、俺のじゃねえか!いつの間に盗りやがったこの野郎ッ」

「うるさい、さっさと食って学校に行け」

「話を逸らすな、それと、お前に俺の出席をとやかく言われる筋合いはない」

「だったらここから出て行け、俺は作業に集中したいんだ、今度邪魔したら本気でその海草頭に風穴開けるぞ」

「誰が海草だッ」

けれど、晃は本気で苛立っているようなので、それ以上文句を言うのはやめにした。

どこか焦っているような姿を見るたび、イライラとジレンマが募っていく。

別に、構わないじゃないか。

その一言がいえなくて、甲太郎はシーツの中で溜息を漏らす。

のっそりと起き上がって振り返ると、椅子に腰掛けた背中がテーブルに両肘をついて、組んだ手の甲に額を押し付けて俯いていた。

「晃?」

肩がピクリと揺れる。

こちらを向いた顔には疲労が滲み出していて、晃は腫れ上がった瞼を擦りながら、ああ、寝てたと小さく呟いていた。

「大丈夫か?」

「ん、平気、ちょっと根詰めすぎただけだ」

「そうか―――」

で?

甲太郎は問いかける。できたのか?

「できたけど、できなかった」

「何だそりゃ」

「多分、最初に俺が飲んだのとほぼ同じものはできた、でも、飲んでみたけど」

するりと服を捲り上げる。

瞬間、ドクンと鼓動が跳ね上がった。

「相変わらずだ」

深いため息と共に、落胆する姿。

正直見ていられない。

辛そうな晃も、魅惑的な白い乳房も。

背反する想いの中、暴走しそうな自身を押しとどめながら、甲太郎もそうかと言って俯いていた。

バカらしい状況なだけに、一層悲壮感が増すようだ。晃にとって事態は想像以上に深刻らしい。

(それなのに、そのままでいろだなんて、言える訳が無いよな)

それが晃であるならば、俺は性別なんて構わない。それは心から思う掛け値なしの俺の本心だ。

辛いならいっそ諦めてしまえばいいだろうに、それすら苦痛であるなら、一体どうやって手を差し伸べたらいい?

「とりあえず、もうちょっとちゃんと調べてみるよ、やるしかないんだし」

そう言って再び液晶に向かい合う姿を見詰めながら、シーツを少しだけ握りしめていた。

落ちてしまえばいいのに。

そんなことも言えない自分が、少し悔しかった。

 

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