◇Light Prayer『DAY BEFORE』
汝、人の身に生まれし者よ。
人は今や、力ある種。
なれば人よ、汝は向き合わなければならない。
己が持つ力と、そして運命に。
平穏な日常に在りても、定めは刻々と迫り来り。
其は、裁きなり。
かつて汝ら人の子の言葉を分かち、驕れる力を砕いたる雷なり。
されど。
神自ら在らざる限り、全ての者は、闇をも抱く。
人よ、真に己で在りたいならば、汝は自ら、戦わねばならない。
汝の持てる闇、悪魔と。
―――声がする。
漆黒の闇、燃え盛る紅蓮の炎。
絡みつく紅い糸。
汝、戦いの定めを負う者よ。
挑む意志あらば、その名を述べよ。
輝く金の稲穂の海の向こうに懐かしい声を聞いた。
(こちらだ)
―――どこ?
(こちらだ、来い)
―――どこにいるの、ねえ。
(分かるだろう、お前ならば、俺の声を聞いて辿り着けるはずだ)
血潮が騒ぐ。
行くな、戻れと繰り返す声に、振り返って首を振った。
知っている、覚えている、忘れてなどいない。
それでも絆は途切れることなく、強く確かに結ばれている。
(来い)
「俺は」
目も眩むような光に向かい名乗りあげた。
「俺の名前は、蓮見和哉」
光が瞬き、声が遠のく。
神曰く。
七つの昼夜をもって創りしこの世を、七つのラッパの響きにて滅ぼさん。
意志ある者よ、その瞳に映りし『数』を、恐れよ。
残されし、昼と夜の数を。
嘆き、哀れむ声を振り切ってまで願うのは、あの懐かしく愛しい温もり。
血潮の呼び合う離れ難い半身。
水面が見えた。
真っ赤な水を割り、伸ばした腕を糸の先から確かな感触が捕らえ、力強く和哉を引き上げた―――