適温に保たれた快適な室内、肌触りのいいシーツの上でタオルケットを被りまどろむ朋也の肌を掌が撫でる。
カーテンから差し込む朝の光がフローリングの床に細い線を作り、車の走る音と、鳥の声が遠く聞えてくる。
額にキスされて、上を向いた。
鳶色の優しい瞳がフニャリと緩んで「おはよう」と囁きかけてきた。
「おはよ」
再びキス、今度は瞼の上。
陽介は朋也を胸に抱き寄せながら、頬や手足をスリスリと擦り付けてくる。
「陽介」
「んー?」
―――さっきから腿の辺りに押し付けられている、硬くて熱を帯びた感触。
まさか当人は気付いているだろう、これは、生理現象だけれど、徐々に別のものも混ざりだしているに違いない。
「さっきから、あたってる」
うん、と案の定返された。
「朝だし仕方ないだろー」
「やめてくれないか」
「んん」
更にぐいぐいと押し付けてくる。
「陽介」
「朋也、しよう?」
何?と怪訝な顔をした朋也に、陽介は唇を重ねてくる。
そのまま、口腔内に舌を潜りこませながら、背中を擦り、尻をゆっくりと掌全体で揉み始めた。
ビクリと震えた朋也が胸を押し返そうとすると、更に強く抱き寄せて、脚の間に片足を差し込まれて、腿で股をぐいぐいと擦られる。
(い、嫌だッ)
深い口付けに吐息すら飲み干される。
パジャマ代わりの陽介のシャツを握り締めて必死に堪える朋也を、陽介は容赦なく追い詰めていく。
「ぷぁ、は、ハッ、や、やめッ」
漸く唇を解放されて、朋也は陽介にしがみつくように胸元に顔をうずめた。
その頭を抱き寄せて、額の上辺りに何度もキスを繰り返しながら、ショーツの隙間から忍び込んだ指先が熱く火照った陰部へと潜り込んでいく。
「ン!よ、陽介ッ」
「ホラ、もーこんなヌルヌル、お前って案外エッチな体してるんだから、いい加減観念しなさい」
「やッ、だ!」
「ったく、しょうがないな」
くぷ、くぷと出入りを繰り返す指の感触に、短い呼吸が繰り返し漏れる。
「ほーら」
指は2本に足されて根元まで入り込み、内側をグチュグチュと混ぜるように愛撫を始めた。
膣壁を擦られるたび朋也の体がビクビクと震える。
涙目で見上げると、途端陽介は余裕をなくした表情でゴクリと喉を鳴らしていた。
「と、朋也ッ」
強く抱きしめられて、キスされる。
暫くごそごそしていた陽介の両手がショーツをいきなりスルリと下げると、怒張した雄を朋也の内側に捻じ込むように挿れてきた。
「んあッ」
衝撃で強張る体を半ば強引に貫き、抵抗する間もなくズッポリと根元まで収められてしまう。
「よッ、ヨースケッ」
喘ぐように呼びかけた朋也に圧し掛かりながら、至近距離で見詰める陽介は切ない表情の瞳をスッと眇めていた。
「朋也―――好きだ」
「陽介」
「お前が好きだ、好き過ぎて、頭どうにかなりそうなくらい、好き」
「何、言ってる」
「俺は本気だよ」
口付けされた。
そのまま、陽介が腰を揺すりだす。
焦らすように突き上げてくる動きに、朋也はギュッと目を閉じて、陽介の背中に回した腕でシャツの表面を握り締めながら、内側に蠢く熱を感じていた。
空調が効いているはずの部屋は何故か少し蒸し暑い。
結ばれた箇所から漏れる卑猥な水音と、2人が口付けする音が、窓の外からかすかに聞える朝の喧騒に混ざって辺りに満ちる。
陽介は一度体を離して朋也の片足をショーツから抜かせると、改めて腿を抱えこみ、深々と収めてから、今度は突きこむ感覚を少し伸ばした。
途中まで引き抜いては再び穿つ行為に合わせて華奢な肢体がユサユサと揺れる。
たわわな乳房が陽介の体に擦れて、シャツ越しに刺激を与えられる胸元がもどかしい。
堪らずギュッと抱きついてきた朋也を、陽介も益々強く引き寄せて、夢中で腰を打ち付ける内に快楽は頂点へと至り、やがて無上の歓喜と共に最奥で精を放つ。
「ひあッ、あああッ」
解かれた唇からもたらされる嬌声にウットリと耳を澄ませながら、最後の一滴まで残らず注ぎ込んでいく。
やがて、互いに緩々と弛緩して、寄り添う朋也と繋がったまま陽介は壊れ物を扱うように臀部を抱えてゆっくりと体を横たえた。
「朋也ぁ」
溢れる想いを言外に陽介の全てが伝えてくる。
言葉で応じる代わりに、朋也も陽介に頭を摺り寄せていた。
触れ合う温もりは束の間麻薬のように現実を霧の向こうに隠す。
「―――なあ」
「何?」
「お前さ、昨日、女物の下着買ったよな」
「うん」
「その時サイズとか測った?」
「ん―――上から93、56、85」
マジか!
突如上げられた大声が内側で響いて、朋也は顔を顰めながらゆっくり目覚め始めていた。