「いやー、実際いい体してんなとは思ってたけどさ」

すっかり何様気取りであけすけな物言いをする陽介に多少苛立ちを覚えつつ、朋也はフライ返しを動かす。

「改めて数字で聞くとトキメクよなあ」

りせちーの公開プロフィールより断然凄いと興奮しつつこちらを見ている視線が若干嫌だ。

「グラビアアイドルも真っ青!」

「花村」

935685なんて、発禁レベルだぞ?」

―――こういう数字の覚えはいいのか。

それが学業に活かされたらいいのにな、と、内心毒づきつつチャーハンを皿に盛り付ける。

「お前に悪いよ、俺ばっかりナイスバディを堪能させてもらっちゃって」

再び微妙に苛立ちながら、朋也は振り返って陽介を呼んだ。

「ん?」

「これ、テーブルに運んで」

「りょーかーい」

食卓の椅子から立ち上がった陽介は、傍まで来ると皿を取らずに朋也の背後に立ち、するすると尻を撫で始める。

「花村」

「いいなあ、今のお前、凄くいい」

寝覚めてすぐセックスに耽った体を洗い流して、今は肌着代わりの白いキャミソールと、淡いブルーのショーツ姿にフリルのエプロンを纏っただけの格好は、流石に無頓着が過ぎただろう。

パンツくらい穿いておけばよかったと溜息を漏らしていると、エプロンの端から潜り込んできた両腕がキャミソールをたくし上げて、たわわな乳房を両手に納めた。

「ちょ、コラ!」

ぐいぐいと揉みだす陽介に、朋也は肩越しに抗議を申し立てる。

「やめないか、もう朝飯だぞ、冷める!」

「んん、そっちも凄く美味しそうだけど、今はこっちのほうが食べたいなあ」

「あのな、っつ!今日も皆と待ち合わせで探索に行くんだろ、こんなことしてる場合じゃ、アッ、ないッ」

陽介の指先が乳首をつまんで擦り、クニクニと弄る。

首筋に吸い付かれて止めろと怒る言葉に反して、体の力がどんどん抜けていってしまう。

「ダッ、メ!」

朋也の背中を胸元で受け止めた陽介は、耳朶を食んだり耳の後ろから首筋を舐めたりしながら、ムニムニと胸への愛撫を繰り返し、やがてスルリと伝い降りた掌が脇腹から中心に向けて確かめるように撫で始めた。

「ん、朋也ッ、可愛い、朋也」

「陽介!コラッ、バカッ、アッ、んあッ、ハ、ハ、ああン!」

エプロンの影で陽介の掌が股間を覆うように触れる。

「ヤッ、ダメだ、馬鹿!」

指先がくにゅりと陰部を探り当てた。

「ひあ!?」

獣じみた荒っぽい吐息を耳元に吹きかけられつつ、陽介の指が割れ目をなぞり、中に入り込んでくる。

「アッ、止めろ、この!」

必死に体を捻って、怒りと羞恥に燃える瞳で睨み上げた朋也に、陽介が淫蕩とした笑みを浮かべて見せた。

「朋也、ココ、またヌルヌルしちゃってんな」

「お前、いい加減にッ」

「指に絡みついてくる、ホントはエッチなことしたいんだろ?」

「そ、な、わけッ、あ、あ、アッ」

「さっきしたばっかなのに、お前ってやらしい」

「あるかッ」

「―――ウソツキは、オシオキしなくちゃだよな」

三本に足された指がずぷんと朋也の中に突き込まれる。

ヒッと仰け反った朋也を、後ろから抱きかかえる形で支えている陽介の手が乳房を揉み、陰部をかき混ぜて、容赦ない愛撫が施される。

「やッ、あッ、だ、ダメぇ」

ガクガクと震えている体の、首筋に、鎖骨に、唇を這わせて、涙目で振り返れば唇を奪われ舌で存分に口腔内を蹂躙された。

漸く解放されて、息切れしながら惚けている朋也を見て、陽介はおもむろに指を引き抜くと、トランクスから取り出した陰茎を濡れ細った花弁に押し当てた。

「朋也」

耳の後ろをネロリと舐められる。

直後に、怒張した雄がズプ、と潜り込んでくる。

華奢な肢体は激しく震えた。

「ひあッ、あ、あ、やめッ」

腰を抱えてグプグプと進入を続ける、陽介の暴挙に朋也はなす術も無い。

やがて、すっかり収められてしまった熱にふらつきながら伸ばした両手がシンクの縁に触れた。

握るように掴まると、そのまま骨盤の上辺りをしっかりと押さえられて、背後からパンパンと下肢を打ち付け始める。

腹の奥底を突き上げてくるような衝撃に、朋也の唇から甘い鳴声が漏れ始めた。

「アッ、はあ、はあッ、アンッ、アンッ、アン!」

「朋也、朋也ッ」

「はッ、よう、すけッ、や、めッ」

「無理ッ、今更、やめれる、か、よ!」

「アうッ」

シンクの縁にしがみついて震える朋也に根元まで陰茎を収めて、そのまま背中に圧し掛かりながら、陽介はエプロンの縁から片方の手だけ這い込ませて乳房に触れた。

「あッ」

もう片方の手で体を支えつつ、小刻みに腰を打ちつけながら、掌の膨らみを思う様堪能する。

耳の後ろを舌先で舐め上げて、首筋に吸い付いて、熱っぽい声が囁きかけた。

「出掛ける前にこんなにしちゃって、どうするんだ、朋也?」

「お、まえッ、がッ、アッ、アン!してッ、きたんッ、だろ!」

「やーらしい声、このまま中で出したらッ、皆に会った時も、ンッ、ココに、俺のが、入った、ままッ、だよッ、な!」

「やッ、だぁ」

「いっぱいっ、ミルク注いで、あげるから!もっと、可愛い、声っ、聞かせ、て!」

「やあああッ」

起き上がった陽介が激しい動作で追い込みをかけてくる。

容赦なく前後に揺すられて、朋也の細い喉が悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げた。

やがて膨れ上がった快楽は解き放たれ、同時に少女の胎の一番奥に大量の精を吐き出していた。

叩き付けられる欲情の奔流を感じ取りながら、朋也の膣が陽介の陰茎をキュッキュと締め付ける。

眼下で震えていた肢体がゆっくりと弛緩して倒れかけるのを、陽介は寸でのところで抱きとめた。

繋がったままの体を抱き起こし、腕の中に収めてチュ、チュとキスを繰り返す。

「朋也」

涙に滲んだ視界の端を見て、朋也の唇が、ああ、と溜息交じりの声を漏らしていた。

「チャーハンが冷めた、お前のせいだ―――バカ!」

 

*****

女性用生理用品というものをはじめて使ってしまった。

朋也は今、内心屈辱に打ち震えている。

(最悪)

シャワーを浴びつつ掻き出してみたけれど、奥まで注ぎ込まれた陽介のザーメンが動作の度に陰部から零れ出してどうにも収まらないので、考えあぐねた末の措置だ、理解はしているけれど納得はできていない。

淡いオレンジのシャツと、白い混麻のパンツ姿に喜ぶ陽介を睨み付ける。

「そ、そんな、怒るなって」

途端たじろぎながら苦笑いに変わった表情からプイとそっぽを向いた。

激しい情交で蕩けきった体を何とか動かして身支度を済ませ、食事を終えて家を出たのが昼近く。

携帯電話には着信履歴やメールが山のように届いていた。

仲間たちと合流したあとも散々叱られてしまった。

当然の成り行きとして遅刻の理由も聞かれたけれど、それには「寝坊して」としか答えられなかった。

(当然だろう)

待ちくたびれてすっかり空腹を持て余していた仲間たちは、罰として荷物当番を朋也と陽介に命じて、フードコートの売店に軽食を買い求めに行っている。

朋也の傍らに腰掛ける陽介が、朋也ぁ、と、そっと卓上の手に掌を重ねてきた。

「ゴメンってば、ホント、調子乗りすぎて悪かったよ」

返事は無い。

陽介は困り果てた様子で「ごめん」を繰り返す。

「そんな怒んないで、なあ、こっち向いてよ」

「知らない」

「朋也ぁ」

「妙に勘繰られそうな呼び方するな」

不意に背後から「なーにやってんの!」と声がかけられた。

途端パッと離れる陽介に、千枝が訝しげな表情で近づいてくる。

「ちょっと、花村、アンタまさか黒沢君に妙なことしてないでしょうね?」

「し、してねーよ!」

「じゃあ今何やってたの?」

「そ、それは、その、今日の探索についてだなあ」

「探索について、何?」

「だからその」

口ごもる陽介の回りをいつの間にか女子が取り囲んでいる。

八方から向けられる疑いの眼差しにすっかり萎縮して嫌な汗をかいている陽介を尻目に、朋也はクマが買ってきてくれたたこ焼きを涼しい顔で摘んでいた。

「―――花村先輩も、大変ッスね」

「自業自得だよ」

「は?」

「いや、こっちの話」

「はァ」

「でもセンセ、もしヨースケがえっちィなコトセンセーにしようとしたら、すぐクマを呼ぶクマよ!」

「ありがとう、そういやクマは昨日も完二の家に泊まったのか?」

「ううん、昨日はチエちゃん家クマ!でもねえ―――そのことは、あんまり思い出したくないクマ」

「何で?」

「クマ、本物のクマになってしまうところだったクマ」

遠い目をする着ぐるみに、疑問符を浮かべて顔を見合わせた朋也と完二は、直後に完二だけ顔を真っ赤に染めて他所を向いてしまう。

「黒沢先輩」

「どうした?」

「俺が言うことじゃないかもしれないンすけど、その、花村先輩のことちょっとは労わってあげてください」

―――これだけ好き放題しているあのバカタレを、更に甘やかすものかと思うけれど。

「わかった」

可愛い後輩の男ならではの気遣いに、朋也は苦笑いで頷き返した。

モジモジとしている完二に、仕方ないなと溜息を漏らしつつ、片側を振り返れば憔悴しきった陽介が女子の言葉攻めに晒されて半分泣き出しそうになっていた。

(こっちも手のかかる)

そろそろ行こうか、と、朋也は立ち上がり、全員を促す。

振り返った少女達が、それこそ、陽介などもうどうでもいいといったそぶりで朋也の周りに集い、完二とクマも席を立った。

「花村」

「うん」

ショボショボと立ち上がった相棒の肩をポンと叩いてやった。

(自業自得)

これで、いくらか腹の虫も収まったというものだ。

行こうと告げて歩き出す、愛らしいリーダーの後に特別捜査隊の面々が続いた。