恋愛テーマでお題20セレクト/戻る   キャラクターカラー/ルカ コウ ニーナ タマ したらん
01.妬いてる? 02.イジワル 03.身長差 04.優しい温もり 05.手を繋いで
06.まるで初恋の様な 07.他の誰でもない 08.いつかの約束 09.大好き! 10.笑って
11.センチメンタル 12.可愛い 13.幼なじみVS 14.ジレンマVS 15.かなわない
16.恋愛対象 17.それは、恋の病 18.残り香 19.ヒロインの条件 20.「はい、あーんv」
 
01.妬いてる?
(琉夏×主人公)

■お題選択
「へえ、凄いね、格好いいね!」
「だろ?お前、分かってんじゃねえか」

温い風がそっと襟足を撫でた。
熱を帯びたアスファルトを踏んで歩く帰り道、私と、ルカと、コウくん。
遠くで真っ青な海の上を白い波が浮かんでは消えていく。

「ビンテージってのはなあ、古けりゃいいってもんじゃねえんだよ」

得意満面に話すコウくんは、どうやらこの間フリマで凄いお宝をゲットしちゃったらしい。
正直、私にその価値はサッパリなんだけど、でもコウくんの話しぶりで、どれくらい良い物なのか、価値のある物かって事だけは分かる。
普段は退屈そうにしているコウくんが、いつになく熱弁を振るうものだから、つい引き込まれて聞き入っていた。

(私もちょっと、ビンテージコレクション始めてみちゃおうかな、なんて)

いやいや、それじゃ通信販売にうっかりひっかかっちゃうタイプでしょう。
それに私みたいに価値のよく分からない人じゃなくて、コウくんみたいにちゃんとわかってる人が持っていたほうが、ビンテージ物も嬉しいだろうし。

(難しい世界だ)

うむむって考えてたら、私とコウくんの間に、いきなりルカが「わあー!」って飛び込んできた。
どうしたの、いきなり!?

「うおっ!?」
「きゃっ」

驚いて避けたら、コウくんがすかさず「いきなりなんだお前は」って声を上げる。
コウくん、顔、怖い。
さっきまでと全然違う。
(もう、ルカは弟なのに、家族にもこんな調子なんだもんなあ)
でも逆に家族だから慣れてるのかも??
案の定、ルカってば全然気にしてないみたいだ。

「二人ともヒデェよ、俺もいんのに、仲間ハズレ反対、断固抗議する」
「はぁ?」
「俺も仲間に入れて」

クルッて振り返ったルカにニッコリ笑われて、何でかな、いきなり私の胸は跳ねた。
ルカはニコニコ笑ってる。
その向こう側でコウくんが迷惑そうな顔で溜息をついて、子供みたいな駄々こねるなって。

「そ、そうだよ、ルカ、いきなりビックリするでしょ!」
「だって、二人で楽しそうなんだもん」
「なんだそりゃ」
「つまんない」
「あのなあ、お前はいつもサッパリわかんねえって顔してんだろ、んなヤツに今更話すかよ、意味ねえだろ」
「そりゃコウの趣味は謎だけど、でも二人で仲良くしてるのはズルイ」
「別にしてねぇ」
「俺も仲間に入れろ」
「だから、お前は話聞いたって分かんねえだろって言ってんだよ」
「わかんねえ、でも入れろ」
「だから!」

うわ、ダメだ、これはいつもの、ループの予感!

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」

慌てて間に入った私を見て、二人が同時に『何?』って顔をした。
えーっと、ねえ!

「あの、ね、じゃあルカも一緒に話せる話にしよう、三人で話そ?」
「あぁ?」
「コウくん、その、お宝は今度見せてよ、話もその時に聞かせて欲しいな?」
「んだ、そりゃ」
「だって、本当に凄いんだろうなって思うし、だから、ね?是非!」
「ん、まあ―――じゃ、このまま寄ってくか?」
「え?」
「お前今日何か用事あんのか?」
「ないけど」
「よし」

なら決まりだ。
そう言ってコウくんがニヤッと笑う。
もしかしなくても微妙に墓穴?
それでもって、何でかな、ルカまで一緒に笑いかけてきた。
途端また跳ねる私の心臓、本当に最近どうしちゃったの?
ちょっとまごついていたら、ルカが急に私の手を取った。

「わっ」
「フフ、よし、じゃあ三人で話そう、そんでそのままゴーウエストだ!ねぇ、あのさ」
「な、何?」

掴まれた手があっついよ!
それに今日のルカもヘン、普段はこんな事しないのに。
コウくんは相変わらず怖い顔してるけど、怒ってはいないみたいだから、うまくまとめられたかな?

「コウのコレクションは程々にして、折角来るんだから、俺にホットケーキ作って」
「え?」

オイ待てコラってコウくんが唸る。
答えを待たずにルカは最近の出来事を話し始めた。
―――まさか、本当にWest Beachに着くまで、このまま、とか、無いよね?

(ちょっと恥ずかしいけど)

でも、ちょっとだけ嬉しい、かも。

波の音がまだ遠くて、West Beachまではもう少し。
隣を歩くルカの笑い声がやけに近くて、私の足元も何だか少し浮かれているみたいだった。
10/09/18
ルカはあまりヤキモチ妬かないか、妬いても分かり辛そう。お兄ちゃんには傍若無人だろうけど。
 
02.イジワル
(琥一×主人公)

■お題選択
靴箱にラブレターらしきものが入ってた。

パカッと開いた靴箱の中、私の靴の上に見慣れない封筒を見つけた途端、隣にいたカレンの目の色が変わって「何これ!」って大きな声を出したからビックリしちゃった。
幸い、昇降口には私たち以外誰もいなかったんだけど―――

取り出して、中を読んでみたら、急に手紙を寄越して驚かせた事を謝る文章と、待ってますの言葉で締めくくられた時間と場所の指定。
カレンがどうするのって深刻な顔で聞いてきたから、私は急に可笑しくなっちゃって。

行かないよ、って、その手紙は家に持って帰って、細かく破いて捨てる事にした。
少し、可哀想な気もしたけれど―――名前も書いてない手紙の誘いを受けるのは不安だったから。


二人一緒の帰り道で、私の話を聞いているコウくんは、けれどさっきから全然興味無さそうに「へぇ」とか「ふぅん」とか適当な相槌を打ってる。

(もう!)

私、ラブレターなんか貰っちゃったのに、そんなのどうでもいいの?
コウくんにとっての私って、つまりそういうポジションなのかな。

(告白されたって聞いても、関係ないんだ)

それは結構悔しい。

再会して、大きくおっかなく育っていたコウくんを見て、最初は凄く驚いたけど、中身は全然変わってないって分かったら、怖い気持ちが一気に好きに変わった。
私の知っているコウくんは、頼りがいがあって、本当は凄く優しくて、だから昔も今も大好きなまま。

(なのにどうだろう、この態度)

気持ちが一方通行気味なのは、それはちょっとくらい自覚あるけどね。
でも本当に興味ないのかな、女の子として、全然気にかけてもらえてないのかな。

私はフウ、と溜息を吐いて、胸のモヤモヤをぶっつけてみることにした。

「でもね、実は、少しだけ後悔してて」
「あ?」

嘘、本当は後悔なんてしてない。
でもこのままスルーされるのはちょっと癪だから、気を惹きたいなとか、そんな理由でカマをかけてみただけ。

「やっぱり、会いに行った方がよかったかなー、なんて」

それも全然無いんだけど。

「もしずっと待ってたら悪かっただろうし、それに、会ってみて、もし格好良かったら」
「―――良かったら?」

ん?

振り返ったらコウくんと目が合った。
妙に怖い顔してる、でも、急に恥ずかしいよ。
胸がドキドキして言葉に詰まっていたら、コウくんの眉間にグッと皺が寄った。

「良かったら、何だ?」
「えーと、その」

あれ?
雰囲気、何だかおかしくない?
(勘違いかな)
こういうツッコミが入るとは考えてなかった。
動揺して、私は「そうだね」なんてお茶と濁しながら続く言葉を捜す。

「告白、受けても良かったかな、なんて」
「本気か」
「え、えと、その」

気まずい。
コウくんは私の心を探っているように、立ち止まったままじっとこっちを睨んでいる。
何だかすっかり動けない。
嘘吐いたのがバレたかな―――?

「オイ」
「は、はい」

不意に、ふぅ、って溜息。
そのまま視線を背けて退屈そうに歩き出すコウくんを見て、今度はアレッ?って拍子が抜けちゃう。
何で?どうして?もういいの?
追い駆けて、ねえって声をかけたら、肩越しに目のあったコウくんは呆れ顔で呟いた。

「バレバレだ」
「うっ」
「もう少しうまいことやれ」

あうう。
(やっぱりバレてたんだね)

「―――それと」

ん?

「そういうウソはやめろ、余計な被害が出る」

私は首を傾げて、何のことだろう?
被害って?って聞き返してみたんだけど、琥一君は眠たげにあくびをかみ殺しただけだった。
(どこに被害が出るんだろう)
私かな?もしかして、遠まわしに叱られたんだろうか。
嫌な気分にさせちゃったのかも。
でも―――ウソだってすぐに気付いてくれたコウくんが、私は何だか凄く嬉しい。

「コウくん!」

なんだよって、言葉は乱暴でも、ちゃんと私を見てくれている声。
駆け寄って、そのまま手を取ったら、うわって驚かれた。

「おいコラ!何勝手に掴んでんだ!」
「エヘへ、手、繋いで帰ろうよ!」
「あぁ?本気か?」

困ったような、呆れたような、仕方ないなって感じの溜息。
でもちゃんと手を繋いでいてくれる、コウくんはやっぱり優しい。
手紙の事はまだ悔しいままだけど、少しは驚かせたみたいだから、もういいか。

『―――ったく、人の気も知らないで』

コウくんが何か呟いた言葉は、よく聞えなかったから、なあにって聞き返したけど、教えてくれなかった。
私たちの影は重なるようにして、足元に長く長く伸びていた。
10/09/23
23の日にニーサンの話…狙ってないッス、コウ兄ぃはラブレターの主が分かっていたら乗り込んでました。多分。
 
03.身長差
(紺野×主人公)

■お題選択
隣り合って歩いているとつくづく思う。
(先輩って背が高いなぁ)
確か、前に教えてもらったときは、181cmって聞いたかな、私より20センチも高いんだ。
だからどうしても、話すとき、上を向く格好になっちゃう。
ずっと喋ってると段々首が痛くなってきて、それで、つい距離を取っちゃうんだけど、今日も少し離れて歩いていたら、玉緒先輩から「ねぇ」って呼びかけられた。

「はい?」

秋の森林公園は、色付いた銀杏や楓の木の葉がキレイ。
サワサワ風が吹いて、落ち葉がフワッと舞い上がった。

「その、前から気になっていたんだけれど」
「はい」
「僕に、何か非があるんだろうか?」
「え?」

急に何の話?
きょとんとした私を見詰める玉緒先輩はやけに深刻そうな顔をしてる。

「あの」

眼鏡の奥の瞳がスウッと眇められて、そのまま少しだけ視線を逸らされた。
「そりゃあ、僕は、お世辞にも洒落ているとは言えないし、ファッションセンスだって自信があるわけじゃない」

はあ。

「でもね、それなりに気を配っているつもりだ、容姿はともかく見てくれは大切だから、君ともその、いや、他ならぬ君だからこそ、一緒にいて恥ずかしくないよう心がけているつもりだよ」

―――えーっと、私も褒められるほどオシャレ道を極めているわけじゃないんだけどな。
(カレンにアドバイス貰って、流行チェックしたり、髪や肌の手入れをちょっと気にかけてる程度なんだけど)
でも、そんなの女の子は誰だってやってることだし、特別シェイプアップに気を配ったり、歩き方とか、動作とか、本格的に研究した事もない。
周りと比べてごく標準レベルだと思うんだけど。

「だから教えて欲しい」
「何をですか?」
「今以上、どうすれば僕は君に認めてもらえる?」
「はい?」

えーっと、何がどうしてこうなってるの!?
(認めるって、私が?玉緒先輩を?それってどういう)
でも混乱する気持ち以上に、玉緒先輩の真っ直ぐな眼に見詰められて―――うぅ、顔が熱い。
(は、恥ずかしいよ!)
胸がバクバクしちゃって、頭の中が真っ白になりそう。
でもよく考えなくちゃ、とにかく一体どうして。

「せ、先輩、何で急にそんなこと訊くんですか?」

そう、それだ!
私を見詰めていた先輩は、急にしゅんって項垂れて、うん、って小さく呟いた。

「だって君、僕と歩いているといつも、その―――遠くに行くじゃないか」
「え?」
「今だってそうだよ、気付いたらこんなに遠い」

遠いって言っても、先輩と私の距離は多分30センチくらいしかない。
玉緒先輩はこの距離を『遠い』って思ってくれるんだ。
(それって)
また少し胸のドキドキが早くなった。
眼鏡越しの瞳が私を見ている。

「僕の隣を歩くのが嫌ならそう言ってくれて構わない、でもせめて挽回の余地は残して欲しいんだ、だから」
「ちょ、ちょっと待って下さい、先輩の隣が嫌だなんて、そんな」
「それならどうして離れていくの?」

先輩。
(やだ、可愛い)
どうしよう、年上の、他でもない玉緒先輩なのに、困ったような悲しげな顔が申し訳ないけど凄く可愛い。
思わずあたふたして、先輩が思っていることは違うって伝えたくて、私は一所懸命話した。
どうして距離が開いちゃうのかって事も。
そしたら今度は先輩がきょとんとして、呆気にとられて、最後に―――「あぁ、良かった」って。

「なんだ、そうだったのか」

子供みたいな顔して笑う、そんな姿がやっぱり可愛い。
今みたいな笑顔を見るたびに胸の奥がキュンとして、つられて私も笑顔が浮かんできちゃう。
玉緒先輩は嬉しそうに足を半歩、私のすぐ隣に立った。

「それならそうと言ってくれたら」
「あの、でも先輩は悪くないんです、私の背がもうちょっと高かったら」
「いや、その必要は無いよ、君は今のままでいい」
「でも」
「今のままがいいんだ、今のままが可愛」

言いかけた先輩の顔が急に真っ赤に染まる。
何でもないよって慌てて声を上げて、それからコホンと咳をした。

「えーっと、それじゃあ君の首が痛くならないように、何かいい方法を考えないと」
「大丈夫ですよ、私」
「僕の方があまり大丈夫じゃない、そうだな、僕が中腰で、いや、それじゃ腰を悪くするか、うーん」

何が大丈夫じゃないんだろう。
またちょっとドキドキが始まった私の手を、急に先輩がキュッと掴んだ。

「先輩?」

見上げたら、優しい笑顔が返ってくる。

「とりあえず手を繋いでおこう、離れないように」
「は、はい、あの」
「それと、無理して見てくれなくていいよ、その、君は前を向いていてくれたらいい、その代わり」

玉緒先輩はそこで一旦言葉を止めて、恥ずかしそうな横顔の鼻先をちょっと掻いた。

「僕が君を見るから」

思わず立ち止まった私の隣で、足を止めた玉緒先輩がこっちを見てハハって笑う。
私の顔も、先輩の顔も、周りの木立も全部赤い。
掌から色々なものが伝わっちゃいそうで気になったけれど、私も先輩の手を握り返しながら笑顔で「ハイ」って返事をした。
10/09/24
身長差って言ったらもう先輩しか出てこなかった(笑)181は私にとって因縁の高さです、紅葉〜!
 
04.優しい温もり
(設楽×主人公)

■お題選択
「ん?」

建物の外に出た途端、視界をフワリと白いものが過ぎる。

「雪だ」

空を見上げると、重く立ち込めた灰色の雲間から、また一つ、二つ、フワフワと。
真っ白い羽の様な雪が降ってくる。
伸ばした掌の上に一片乗ると、解けて冷たい感触だけが残った。
(どうりで、今日は寒いと思った)

今朝からずっと底冷えするような静かで冷たい気配が満ちていて、天気予報でも雨か雪が降るでしょうって伝えていたから、充分暖かくしてきた―――つもりだったんだけど。

クシュンって、くしゃみが出た。

(思っていた以上に寒い!)
イベントホール内は結構暖房が効いてたんだ、こういうのって外に出ると気付くよね。
溜息を吐いたら白くて、隣から「どうした」って聞えてきた。

「聖司先輩」
「寒いか?」

聖司先輩の柔らかくウェーブのかかった髪にも、白い雪。
ちょっと呆れ気味に私を見ていた赤い瞳が、不意に目元を緩めた。

「何だお前、鼻の頭が赤いぞ」
「えっ」
「クラウンみたいだな、丁度いい、お前ちょっと俺を笑わせてみろ」
「酷い、先輩も赤くなってますよ」
「寒いんだ、仕方ないだろ」

ずるい。
でも、意地悪な先輩にからかわれるのなんて慣れてるから、もうって呟いて視線を逸らしたら、首の辺りに何かがフワリと触れた。
(えっ?)

慌てて視線を戻すと、聖司先輩が巻いていたマフラーが消えている。
代わりに私の首に、柔らかくて暖かな感触があった。
聖司先輩は優しい目をして私にマフラーを巻きつけてくる。

「まったく、世話の焼けるヤツだ」
「せ、先輩!」
「ん?」

何だ?と訪ねる先輩の手を慌てて押さえた。

「先輩が寒いじゃないですか!」

冬の海辺はただでさえ風が冷たくて、おまけに雪まで降っているのに、こんな事したら先輩が凍えちゃうよ!

「風邪ひいちゃいます、私は大丈夫ですから!」
「けど今クシャミしてただろ」
「そ、それは、しましたけど、でもっ」
「ウルサイな、俺がしたくてやっただけの事だ、いちいち騒ぐな」
「でも!」

先輩は暫く私を見つめて、フウってため息。
そしておもむろに掴んだままの私の手を解くと、そのまま―――私を抱きしめた。
(えぇっ)
せ、先輩?
(なんで、急に)

「それなら、お前がマフラーの代わりになれ」

ぎゅうって抱きしめられる腕の感触、伝わってくる聖司先輩の温もりに、心臓がバクバク跳ねて踊る。
周りの物音なんて聞えなくて、何も考えられない。
先輩が囁いた。

「暫く―――このままでいさせろ、いいな?」

肩に顔をうずめるようにして、小さく頷いた耳元で、微かに笑い声が聞こえたような気がした。
優しくて、凄く、凄く温かい。
普段は意地悪ばっかりで、そっけなくって、怒りっぽい人だけど。

「先輩?」
「何だ」
「あったかい、です」
「―――俺もだ」

先輩の背中に触れる指の先までほっこりとした温もりを感じながら、溢れ出す私の想いの様な雪の花びらがヒラヒラ、ヒラヒラと、私達の周りで冬のワルツを踊っていた。
10/09/26
したらんは冬が似合うなーっていうのが個人的感想なんですが、ヤツは熱いのも寒いのも嫌いなんだよな。
 
05.手を繋いで
(新名×主人公)

■お題選択
降り出した雨が止んで、喫茶店を出ると、真っ青な空が広がっていた。
夏の匂いを孕んだ風がフワリと頬を撫でる。
ほんのり冷たい感触が心地良くて、目を瞑ったら笑い声が聞こえた。

「なーにしてんの?」

隣から覗き込んでくる、旬平くんの顔。

「風が気持ちいいなって」
「ああ、雨上がりって特にいいよな、スッキリしてさ」
「うん」

笑って答えたら、少し顔を赤く染めた旬平くんが、ちょっと言葉に詰まってから「行こう」って。
並んで歩き出す雨上がりの街並み。
あちこちで光を受けた雫がキラキラして、何だか凄くキレイ。

「なあ、次はどの店行く?」
「そうだなぁ」

私の腕を、旬平くんが不意にツンツンって突っついてきた。
振り返ったら(見て見て)って前を指差す。

「ん?」

前を歩く二人組。
もう雨が止んでるの気付いて無いのかな、傘を差したまま、肩を寄せ合っている。
腕を組んで、お互い耳打ちするみたいにヒソヒソ話しては笑って。
(うわぁ)
何て言うか、見ているこっちが恥ずかしくなるよ。
すっかり二人きりの世界に浸っちゃってる。
通り過ぎる人たちも、苦笑いで気付かないフリしているみたい。

「凄いね」
「ラブラブって感じ?」
「でも、流石にアレは」

ちょっとね、って旬平くんを振り返ったら、ニッコリ笑い返された。

「俺らもあてられてみちゃう?」
「うん?」
「ラブなモードに突入してみちゃったりする?」

し、しないよ!
ビックリしてポカンとした私に気付いて、今度はちょっと慌てたような顔をした。
旬平くんって気持ちが全部顔に出るから分かりやすい。

「ウソウソ、冗談!」

そう言って笑うけど、態度と声のトーンが裏腹。
残念だったのかな、もしかして。
(前の二人みたいなのがいいのかな、ああいう事がしたいの?)

やっぱり、流石にアレはナシ―――でも。

ショップの庇に溜った雫がキラキラ光りながら道路に落ちる。
靴の先でも光が跳ねて、ヒヤリとした風に促されるように、私は手を伸ばした。

「え?」

驚いた顔で振り返る旬平くん。
握ってみた手はほんのりあったかい。
目をまん丸にした顔を見て、私は思わず噴出して、改めて旬平くんの手を握り締めた。

「流石にあそこまでは無理だけど、これくらいだったら、あてられちゃってもいいよ?」
「あ、うん」
「ダメ?これじゃ不満?」

そんなことないって慌てた旬平くんがおかしくて、笑った私の声を聞いて、前の二人も雨が上がっている事にやっと気が付いたみたいだった。
傘を畳む隣で、片方が空を指して虹が出てるよって声を上げる。
私と旬平くんも同じ方角を見上げた。
ビルの合間に架かる七色の橋。
青く澄み切った空に映えて、凄くキレイ。

「ねえ」

きゅって手を握って、引き寄せられて、振り返ったら旬平くんの顔はまた赤い。

「もう暫くだけこのまま、あてられちゃっててもイイ?」

私も肩を寄せて、フフって笑う。

「いいよ」
「なあ、俺らって、傍から見たら、前の奴等とそんな変わんない感じかもな」
「じゃあ、手、離しちゃおっかな?」
「うわ、ちょ、ちょっとタンマ!そんなんじゃねーって、だからダメ!」

握る手の力が強くって、痛いよって言ったら、解かず緩めてゴメンねって、伝わる温もりが熱いくらい。
今なら虹の向こう側まで飛んでいけるかもしれない。
嬉しそうに歩く旬平くんの隣で、だけどこっそり、私の足も負けないくらい浮かれていた。
10/09/26
年下に対するバンビは時々強気で可愛いです、旬平のリードでは進ませないぞという心意気(笑


■次項