恋愛テーマでお題20セレクト/戻る   キャラクターカラー/ルカ コウ ニーナ タマ したらん
01.妬いてる? 02.イジワル 03.身長差 04.優しい温もり 05.手を繋いで
06.まるで初恋の様な 07.他の誰でもない 08.いつかの約束 09.大好き! 10.笑って
11.センチメンタル 12.可愛い 13.幼なじみVS 14.ジレンマVS 15.かなわない
16.恋愛対象 17.それは、恋の病 18.残り香 19.ヒロインの条件 20.「はい、あーんv」
 
11.センチメンタル
(紺野×主人公)

■お題選択
寒いと思ったら雪が降ってた。
クリスマスパーティーのあと、お屋敷の外に出たら、闇に踊る白い結晶。
コートの前をギュッと抱いて体を震わせる。
(家に電話して迎えに来てもらおう)
この寒さの中、とてもじゃないけど自力でなんて帰れないよ、それに、夜遅くて怖いし。
バッグの中を捜していたら、ポンって肩を叩かれた。

「やあ」

振り返ると、紺野先輩がニッコリ笑いかけてくる。

「君も帰るところ―――だよね?」
「はい」
「まさか一人で?」
「いえ、家に電話して、迎えに来てもらおうと思って」

そっか、って呟いた紺野先輩はちょっと残念そうで、けれど急にそわそわしだすと「その」って切り出してくる。

「もし良ければ、一緒に帰らない?」
「え?」
「折角だし、あと少しだけ」

紺野先輩の鼻の頭が赤い。
寒いのかなって思ってたら、言葉の前に先輩はくしゃみをした。
鼻を啜って「あっ」って私を見る様子は、何だかバツが悪そう。

「えーっと、その」

眼鏡の奥の視線が他所を向く。

「やっぱり寒い、よね?」

―――そうっとこっちを見て。
その仕草が何だか可笑しくて、つい笑っちゃった。
悪いかなとは思ったんだけどガマンできなくて。

「どうして笑うの?酷いなあ!」
「ごめんなさい、つい!」

溜息の紺野先輩。
でも、呆れているのとはちょっと違うみたい。
私を見る目はまだ少し恨めしそうで、笑い続けていたら「コラ」って。

「やっぱり雪の中を歩くのは寒いよね、仕方ない、今回は諦めよう」
「大丈夫ですよ?」
「君が風邪でもひいたらいけない、お家の人に連絡して」
「先輩、傘持ってきてるんですよね」
「え?ああ、うん」

先輩が持っていたのは長傘。
今日の降水確率に保険をかけておいたんだって、流石だなあ。

「二人くらいなら楽に入れるよ、でも君は」
「こうしたら寒くないですよ?」

先輩の言葉は、それ以上続かなかった。
スルリと腕に抱きつくと、真っ赤になってそのまま固まっちゃう。
コート越しでも伝わる体温、くっつけば雪だって寒くない。
そのまま見上げた私に気付いて、ハッとした顔で名前を呼ばれた。

「た、た、確かにそれなら、さ、寒くは無いけど!」
「あったかいですね」
「そ、そうだね」
「ハイ」

だって、誘ってくれて嬉しかったから、それに今夜はクリスマスだし。

「ホワイトクリスマス、ですね」

先輩は暫くモジモジしていたけれど、今度は深く白い息を吐いた。
私を見つめたまま、手元で傘をポンと開く。

「―――正確には明日だよ、今日はホワイトクリスマス・イブ」
「でもサンタさんが来るのは今夜ですよ?」
「ふふ、まさかまだ信じているとか?」
「だって、今、こうして一緒にいますから」

傘を差してしまえば、私たちがどんな顔で話しているか、もう誰にも分からない。
サクサクと雪を踏んで歩く、私と先輩の足音が重なる。

「君への贈り物は、あれくらいじゃ足りないよ」

夜にヒラヒラと舞う雪。
少しずつ積もりだしているから、明日になれば一面真っ白になっているだろうな。
あったかい先輩と、あったかな傘の中。

「明日以降はゲレンデのコンディションもいいだろうな、この降り様じゃ」
「はい」
「―――所で、あのさ、明日の予定って、もしかしてもう決まってる?」
「いいえ、何もありません、けど」

この雪を見ていたら、スキーに行きたくなりました。
先輩がクスクス笑いながら「それじゃ明日、一緒にどうかな」って。
鼻の赤い先輩は、どちらかといえばルドルフ、という事は私がサンタ?
(私だって、あれくらいじゃ全然贈り足りません)
コートに擦り寄るみたいにして頷いたら、組んだ腕の先でキュッと手を握られた。

降る雪の向こうに、鈴の音が空を駆け抜けていったような気がした。
10/10/13
センチメンタルの定義を間違えています、私。
 
12.可愛い
(琉夏×主人公)

■お題選択
傘の縁に溜息が溶けて消えていった。
雨がサアサア降っている。

「どうしようかなあ」

もうすぐ夕方近いけど、こう曇っていたんじゃ時間の経過がよく分からないや。
腕の中でずぶ濡れのネコが「ニャア」って鳴いた。

―――学校の帰り道、何か聞こえた気がして、足を止めたらこの子が茂みの中からヨロヨロって出てきたんだ。
まだちっちゃい子供のネコ。
真っ黒で目だけキラキラ金色をしてて、震えながらニャアニャア鳴いて私の靴に擦り寄ってきて
(そんなの、見捨てられるわけ無いじゃない!)
だから思わず抱き上げちゃったんだけど、そしたらネコは喉をゴロゴロ鳴らして、すっかり安心したみたいに私の腕の中に納まっちゃって。

でも、この子を連れて帰って、もしお母さんにダメだって叱られたら?

そう思ったら心配で動けなくなっちゃった。
多分、一生懸命頼んだら、元気になるまでの間だけって事で許してくれると思うんだけど。
(お前抱っこしたまま、ここでずっと立ちっぱなしでもいられないよね)
叱られるのは覚悟の上で、もう家に帰っちゃおうかな。
私も寒いし。
そう思っていたら「あれ?」って声が聞こえた。
振り返ると、傘を差した琉夏が不思議そうな顔して近づいて来る。

「どうしたの?」
「あ、うん」

視線が私の腕の中に移って「あっ」って。

「ネコだ」

黒ネコはピッタリ胸の辺りに張り付いて目を閉じてる。
近付いてきた琉夏は腕の中を覗き込んでから私を見た。

「どうしたの?」
「見つけたの」
「ここで?」
「うん」
「捨て猫?」
「わかんない」

でも、ネコの言葉はわからないけれど、助けてって言われたような気がしたんだ。
今は喉をゴロゴロ鳴らして、安心しきっているこの子を見捨てることなんて出来ない。
琉夏はまた猫を見てから私を見て、間を置いてフウって溜息を漏らした。
傘の縁から雨粒がポタポタ落ちる。

腕が、肩に回されて、いきなり私を引き寄せた。

「わっ」

ビックリした拍子に盛大に散る雨粒、よろめいた私はそのまま琉夏に凭れかかっちゃう。
見上げたら「肩が冷たくなってる」って苦笑い。

「お前、ずっとここにいるつもり?」
「えっと」
「風邪引いちゃうよ?」

うーん、確かにそれはそうなんだけど。
腕の中で猫がちっちゃな声で鳴いた。
見下ろしたら、髪の毛越しに何かが頭に触れる。

「ルカ?」

見上げた琉夏はニッコリ笑顔。

「うちにおいで」
「えっ」
「困ってるんだろ?」
「でも」
「後でちゃんと送ってく、とりあえず、お前と猫、あっためないと」
「いいの?」
「勿論」

制服越しの琉夏の体温、あったかいな。
(今のこの子もこんな気分なのかな)
肩を擦る手の感触に、私はクスクス笑っちゃいながら、琉夏から離れて傘を差しなおした。

「じゃあ、お言葉に甘えます」
「うん、甘えちゃって」
「有難う、ルカ」
「なんの、お礼はチューでいいから」
「もう」

並んで歩き出した傘の下、腕の中で喉を鳴らす黒猫。
傘から統べる落ちる雫の向こうに見える街は、少し優しい色に染まっている気がした。
10/10/20
ときめいているのはルカです、女の子+小動物の組み合わせって反則だと思う(笑
 
13.幼なじみ
(琉夏→主←新名)

■お題選択
辺りをグルグル見回してたら、肩をポンと叩かれた。
振り返るとニッコリ笑った旬平君が立ってる。

「こーんちわっ、何やってんの?」
「あ、旬平君!」

あのねってちょっと身を乗りだし気味に話す。
ついさっき、大迫先生に怖い話を聞かされて―――

「ルカ見なかった?」
「ルカ?―――って、桜井琉夏さん?」
「そう!教室に連れて行かなくちゃいけないの!」

不思議そうにしてる旬平君に掻い摘んで事情を説明した。
琉夏ってば出席日数が足りなくて、このままじゃ留年するかもしれないんだって。
だからお前が授業に引っ張ってきてくれないかって、そういうことなら放っておけないでしょ?

「で、捜してる、と?」
「うん」

ようやく屋上で見つけて、途中まで引っ張ってきたのに。
(ちょっと目を離した隙に逃げられた!)
急に「あっ」とか言って、一目散に走って行っちゃった。
だから慌てて追いかけてきたんだけれど―――って、そこまで黙って聞いていた旬平君が急に溜息。
やっぱり呆れちゃうよねえ?
私も、実際の年齢よりずっと小さな子を相手にしてる気分だよ。
そしたら急につまんなそうな声で小さく「ちぇ」って聞えた。

「まぁ、アンタが困ってるんなら、助けてあげちゃうけどさ」
「ホント?」
「そんなキラキラした目で見詰られたら、手ぇ貸さずにはいられないでしょ、ただ、さ」
「ん?」

旬平君は「あーあ」って、両腕を頭の後ろに組んで。

「いいなぁ、幼なじみ!」
「え?」
「俺もアンタと幼なじみしたかった!」
(えーっと?)
「そしたら、こんな風にアンタに追い掛け回してもらえちゃったりとかさ、そういう夢のシチュエーションが」
「旬平君?」

言葉の意味が分からないよ?
『したかった』って、そうやってなるものじゃないでしょ、幼なじみって。

私がそんな感じの事を言ったら、旬平君は急にムッとした顔をして、拗ねたみたいにソッポを向いた。
「旬平君」ってもう一回呼びかけたら、溜息交じりに「もういーよ」って。

「はぁ、アンタってホント天然、けど憎めないし、なんか俺の方がバカみてぇ」
「えっと」
「あー、それで?何だっけ?琉夏さん探すんじゃなかったの、アンタ」
「あ、そう!」
「よし、だったら急いだ方がいい、もうすぐ休み時間終わっちまうし、俺も手伝ってあげるか」

ら、って、言葉が終わる前に、旬平君と私の視界にふらりと現れた琉夏の姿。
ニコニコしながら近付いてきて「よっ」って。

「ルカ!」
「ハハッ、ゴメン、オヤツ買いに行ってた、ホラ」

手にぶら下げられた購買のビニール袋。
授業中ヒマでしょ?って、授業中の飲食は禁止です!

「もー!だからっていきなりいなくなったりしないでよっ」
「うん、ごめんね、時間無くなりそうだったからさ、でも心配しないで、ちゃんと授業には出るよ」
「当たり前です、あとそれ授業中に食べちゃダメだからねっ」
「ええーっ」

「所で」って琉夏「何でニーナが一緒なの?」
私が事情を説明したら、旬平君は苦笑いで頭をペコリ。
琉夏は「ふーん」って呟いた後で、急に私の手を捕まえた。

「そっか、じゃ、そろそろ教室行こう、授業始まるよ」
「あ、うん」
「ニーナも戻れよ、ホラ、俺はこのとおり、捕まっちゃいましたので」
「こら、ルカ」

もう、コッチの気も知らないで。
いつも通りマイペースな琉夏は、そのまま私の手を引っ張るようにして歩き出した。

「サンキューニーナ、またな」
「あッ、じゃあね、旬平君!」

私も急いで歩き出す。
もう!琉夏足早い!それに急にやる気出しちゃって、どうしたんだろ。
結局大丈夫だったけど、旬平君に手伝うって言ってもらって嬉しかったな。
立ち去る直前、何か聞こえたような気がして―――振り返ったら目の合った旬平君が手をヒラヒラ振って、ニッコリ笑った。
そのまま背中を向けて立ち去っていくから、もしかしたら私の勘違いだったのかな?
「引っ張らないで」って言った私に、チラッと振り返った琉夏の横顔が、何だか意地悪な笑みを浮かべていた。


「ずりぃよ、幼なじみって―――」
10/10/22
ニーナが幼なじみだったら、更に奥手な面が発揮されそうで胸キュンv
 
14.ジレンマ
(琥一VS琉夏)

■お題選択
「疲れたか?」

隣に腰掛けたコウ君に顔を覗き込まれて、ううんって首を振った。
いっぱい歩いたから、確かに足は疲れているんだけど、それ以上に楽しかった!
だから全然平気って言ったら、コウ君は笑って、私の頭をグイグイ撫でる。

「やめてよー!」

コウ君の掌は大きくて、力も強いから、撫でられると体まで揺れちゃう。
私は笑いながらコウ君にパンチを当てる。
でも、私なんかの力じゃビクともしない、分厚い胸板がロボットみたい。

「もー!頭クシャクシャになっちゃう!」
「オラオラ、もっとクシャクシャにしてやんぞ」
「やめてよっ、コウくんの頭もクシャクシャにするよ!」
「おぉ上等だやってみろ、コラ」
「やーだー!」

お待たせーって聞えて、振り返ったらジュースを持ったルカが駆けてきた。

「あれ?何してんの、楽しそうじゃん」

私の頭に片方の手を乗せたまま、もう片方の手を伸ばしたコウ君に、ルカがコーヒーを手渡した。
それから私を間に挟んで隣に腰を下ろして、私にミルクティー、ルカはココア。
プルトップを押し上げて、三人仲良くティータイム。
公園の噴水がワーッて勢いを増して吹き上がった。

「ね、それうまい?」
「ん?」
振り返ったルカがニッコリ微笑んでくるから、私は缶を差し出して「飲む?」って。

「えっ」

急にビックリしたルカの顔。
(え、何で?)
飲みたかったわけじゃないの?

「―――いいの?」

(なんだ)
「全部飲んだらイヤだよ、味見だけ」
やっぱり飲みたかったんじゃない。

「そっか」
嬉しそうなルカに、私もくすぐったい気分で「うん」って答えた。
人が飲んでるの欲しくなっちゃうなんて子供みたい、仕方ないなあ。
ルカは「じゃあ俺のココアも飲む?」って、え、ホント?いいの?

「交換、ね?」
「やった、飲むっ」

缶を交換してたら、コウ君が「おい」って呼んだ。
振り返ってる間にルカは早速私のミルクティーをゴクゴク飲んでる。

「何?」
「お前ら、それ」
「うん?」
「―――いや」

コウ君変な顔、急にどうしちゃったんだろう?
そういえば頭の上の手がいつの間にか退かされてる。
コーヒーを一口飲んで、今度は黙り込んじゃって、何か言いたいことがあるのかな?

「お前、飲まないの?」

ルカに言われて、とりあえずココアを味見してみる。
そしたら「うまい?」って訊かれて、私は振り返ってニコリ。

「ん、おいしいよ」
「そっか、お前のミルクティーもうまかった」
「うん」

エヘへ。
また缶を交換して、あれ?そっか!
「ねえ、コウくん?」
「何だ」
「コウくんも飲んでみる?」
「は?」

目を丸くして私を見るコウ君。
違うのかな?てっきり仲間外れで拗ねちゃったのかと思ったんだけど。
(そういえばコウくん、甘いの嫌いだっけ?)
私もコウくんの好きなブラックのコーヒーは飲めないから、交換はできないんだけどね。

「いらない?」
もう一回訊いてみたら、コウくんは暫く黙り込んでから―――「飲む」って。

「そっか、はい」

受け取ったミルクティーの缶をしげしげと眺めてから、少し飲んで、返された。

「おいしいでしょ?」
「甘いな」
「ミルクティーだもん」
「まあ、そうだな」

当たり前じゃないって私も返された缶に口をつけてミルクティーを飲む。
うん、おいしい。
二人に飲まれて大分減っちゃったけど、丁度飲みきれる量になった。
―――そうだ、ルカとコウくんも、飲み物交換しないのかな?

試しに聞いてみたら、二人揃って「ない」って即答。
まあそうだよね。
ブラックのコーヒーとお砂糖たっぷりのココアじゃ全然違うもん。
ミルクティーは丁度中間くらい?
そういえばさっきから二人の顔が何となく赤く染まって見えるんだけど、気のせい?
(変なの)

ルカが凭れかかってきて、反対側からコウ君もちょっとだけ寄りかかってくる。
もしかして私より二人の方が疲れちゃってるのかも。
仕方ないなあって真ん中で飲んだミルクティーは、ほんのり甘くて苦かった。
10/10/22
桜井兄弟にとっての主人公は、母親で、姉で、妹で、恋人なんだろうなぁって思うとトキメキv
 
15.かなわない
(新名×主人公)

■お題選択
「おまたせ〜」

そろそろ風も冷たくなってきた10月。
街を歩く人の姿も、ショールにストール、レギンス、ブーツで、鼻の頭をほんのり赤く染めている。
待ち合わせ場所に現れた旬平君は私の顔を覗き込んでニッコリ。
何?いきなり。

「トリック・オア・トリート!」
「えっ」
「お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ〜!」

ああ、そっか!今日は10月31日。
この頃カボチャオバケをあちこちでたくさん見かけるなあって思ってたけど、ハロウィン当日だった!
思わず私がクスクス笑うと、旬平君も笑ってる。

「ねぇ、ほら!トリックオアトリートだよ!」
「え?えっと、何かあったかな」
「早くッ、じゃないとイタズラだぞ〜?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」

ええっとってバッグの中を捜しても、今日に限ってアメもチョコも、ガムすら持ってない。
うっ、フリスケはお菓子?
試しに出してみたんだけど、旬平君は「ダメダメ〜」って。

「フリスケはお菓子じゃありませーん」
「じゃあ、何?」
「えーっと、エチケットキット?」
「でもアメとかガムと一緒の場所で売ってるよ?」
「ダーメ、フリスケは論外、小さな子供が食べられるようなものじゃないとダメー」

いつもは一個か二個絶対に持ってるのに!
女子のバッグの中身基本アイテムをこんな時に切らしてるだなんて、タイミング悪すぎるっ。

「もしかして、無いの?」
旬平君はニコニコしてやけに楽しそう。

「…無いの」
バッグを閉じて項垂れる私、ハア。
そうしたら、肩をポンって叩かれた。

「じゃ、イタズラしちゃおっかなー?」
「イタズラ?」
「だってトリックオアトリートだもん、お菓子くんないならイタズラしちゃう!」

そ、それって一体―――というかイタズラって何?どんなことされるんだろう?
そしたら急にドキドキが込み上げてきて、何だか落ち着かないっ。
私を覗き込んだ旬平君が「あれっ」って、「ちょっと顔赤くない?」

「そんなことないよ!」
「いーや赤い!絶対赤い!ねぇ、何考えてたの?」
「な、何も」
「ウソ吐けぇ」

そんなこと言ったって!

「ねぇ、ねぇ何?何考えた?言ってみ?」
「ち、違ッ」
「どんなイタズラ想像したんですか〜?ねぇねぇ!」
「どんなも思ってないってば!」
「またほら〜、ご期待にお応えちゃうからさ、して欲しいイタズラ言ってみなよ?ね?」
「そ、そんなのないよ!」
「じゃあー俺がしたいイタズラしちゃおっかな、何がいいかな〜」
「やだ、もうっ」

からかわれてたら本当にどんどん顔があっつくなってきた。
ドキドキも収まらないし、何だかちゃんと旬平君見られないし―――どうしようっ
バッグを握って俯く私を、ジッと見詰める旬平君の気配だけ感じる。
落ち着かないし、凄く恥ずかしい。
もう降参するから!そろそろ許してっ―――

「―――まいった、降参」

え?
見上げたらすぐ傍に旬平君の顔が見えて、ギョッとしたみたいに急にあたふた。
そして何故か旬平君まで赤くなってて、一体どういう事?
(どんなイタズラするつもりなの―――?)

「も、もういいよ、えーっと、意地悪言ってゴメン、お菓子なくてもイタズラしないから」
(えっ?)
「ほんとう?」
「ホントホント、慌てる姿愉しませてもらったし、もう充分」
「なぁに、それ!」

今度は急に年上みたいに余裕の顔して、ホントはいっこ下なのに、もう!
ムッてする私に旬平君が「怒んないでよ、ゴメン」って苦笑い。
本当にビックリしたんだからね!

「機嫌直して、そろそろ行こう?」

私の手をスイッて取って笑う旬平君。

「お菓子の代わりに、アンタとのあまーい時間を俺に頂戴?」

それで勘弁してあげるって、ウィンクして。

「Trick or treat?」

―――格好付けなんだから。
仕方ないなあって肩の力が抜けたら、私も笑顔になって「うん」って答えた。
不思議、何だか本当にハロウィンの魔法みたい。
手を握る旬平君の手は、まだ少し火照ってるみたいだった。
10/10/31
この後遊園地イベントに続くんですv


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